『キカイダー01』ハカイダーが急に弱体化した謎 4人衆誕生、まさかの理由は「再利用」?
「ハカイダー4人衆」が誕生した理由とは?
その後、長坂さんが撮影所に行くと、6回しか登場しなかったハカイダーの着ぐるみのスペアが3体も残されていたといいます。 『キカイダー大全』では、長坂さんが「これは勿体ないから使おうよって、ハカイダー三兄弟作ろう、と。それでレッド、シルバー、ブルーのハカイダーが生まれることになったんだよ」と語っています。 長坂さんの提案を平山亨東映プロデューサーが採用して、続編『01』では「ハカイダー4人衆」が誕生しました。しかし、プロフェッサーギルの脳を移植されたハカイダーと、ダークの優秀な科学者の頭脳を移植された「シルバー」、「レッド」、「ブルー」の3人は、完全に『キカイダー』に登場した「ハカイダー/サブロー」とは全くの別人と化していました。 彼らは、太陽光がエネルギー源である「キカイダー01」の「太陽光がないと力が10分の1になる」という弱点を突いて、日が沈んだ後に攻撃したり、太陽光の届かない洞窟や海底に主人公「イチロー」を誘い込んだりと、正々堂々とジローに勝負を挑んだサブローとは真逆の卑劣な作戦を遂行します。 結局は、ピンチに陥ったイチローを、前作に続いてレギュラー出演した「キカイダー/ジロー」が救出するのが毎回のパターンでした。 強さにしても、ハカイダーの4人がそれぞれ個別に「ブラックドラゴン」「銀エビ」などの別の怪人に変身しても、ことごとく01に倒されました。ついに4人は合体して「ガッタイダー」に変身するも、01ひとりに合体不能に追い込まれ、第10話までに全滅してしまいました。 4人もハカイダーがいれば「01やキカイダーを凌駕する圧倒的強さを持つのでは」と期待されました。しかし、序盤で早々に倒されてしまい、ハカイダーが前作より弱くなった印象は拭いきれませんでした。ハカイダーの弱体化を生んだのも、『キカイダー』でハカイダーをかっこ良く強く描いた、メインライターの長坂さんだったのです。 ハカイダー4人衆は、スペアの着ぐるみの再利用で番組予算の削減し、前半の盛り上げを成功させ、『01』メインの敵組織である「大犯罪組織シャドウ」が登場するまでのつなぎとしての役割を果たしました。とはいえ、視聴者から見ると、大人気キャラのハカイダーが弱く見えてしまうことまでは、当時の制作陣も計算できなかったようです。 しかしながら、ハカイダー4人衆のアイデアは石森先生も気に入ったようで、原作マンガでもドラマから逆輸入される形で登場しています。 『01』で弱体化してしまったハカイダーでしたが、『キカイダー』に登場したハカイダーやサブローの強さとカッコ良さが際立つことになりました。ファンの間で、ハカイダーは悪のヒーローの最高峰として根強い人気を誇っています。
LUIS FIELD