緊縮策「NO」選んだギリシャ 今後残された道は?
ギリシャの国民投票の結果は、欧州連合(EU)などが金融支援の条件としている財政緊縮策の受け入れに反対が61.31%、賛成が38.69%となり、反対が賛成を大きく上回りました。ギリシャのチプラス首相は、今回の国民投票で示された民意を後ろ盾に、交渉のテーブルに戻り、EU側との金融支援をめぐる協議に臨みたいという考えを示しました。チプラス首相は金融支援を受けるためEU側に新たな提案を示すようです。EUのトゥスク大統領は、今後の対応を話し合うため、ユーロ圏首脳会議を7日に開くことを明らかにしました。 ギリシャの行く末はユーロ首脳らが握っているとは言え、ギリシャにとって残された時間はあまりありません。ギリシャの銀行の手元資金は数日中に底を尽きるとみられており、ECBのギリシャ向け緊急流動性支援(ELA)は、ギリシャへのユーロ首脳の対応がはっきりするまでは、現行の水準に維持するとみられます。 ギリシャは銀行預金の引き出し制限などの資本規制を導入していますが、期限は8日まで延長するようです。ECBからのさらなる流動性支援がなければ、銀行がかなり苦しい状況に追い込まれます。このためギリシャの銀行が預金元本減額を検討するのではないかとの観測もあります。 EU側は支援の延長には財政緊縮策の受け入れを条件にしていますが、ギリシャは国民投票でその条件受け入れを否定しました。この民意を元に条件の緩和をチプラス首相は求めてくるとみられますが、ユーロ首脳がギリシャに妥協して、金融支援の条件としている財政緊縮策を緩めるような決定を下せるとは考えづらいです。ただし、債権団との対立色を強めていたギリシャのバルファキス財務相が辞任し、チプラス首相はその後任に対立色の薄いユークリッド・ツァカロトス氏を指名するなど、少しでも関係改善に努めようとしています。 しかし、債権団が妥協すれば今度はスペインやポルトガルなどの反財政緊縮派が勢いを増し、ギリシャだけの問題ではなくなる懸念が生じます。ドイツなどの議会ではギリシャへの支援条件緩和を認めることに断固反対しています。 債権団からの支援延長が受けられず、ECBへの返済もできないとなれば、ECBからの資金供給がストップする可能性があります。もちろんこれもかなり政治上の問題となるため、ECBが単独で決定することはできないでしょう。ユーロ首脳とIMF、ECBがギリシャに対する何らかの結論を出してからとなります。 7月14日に償還される円建て外債(サムライ債)は金額からすれば大きくはありません。それよりも7月20日のECBに対する約35億ユーロの返済の有無が大きな問題となります。