FRUITS ZIPPER、着実にステップアップを続けるグループの現在地 初の全国ホールツアー東京公演を振り返る
FRUITS ZIPPER初の全国ホールツアー『FRUITS ZIPPER JAPAN TOUR 2024 - AUTUMN - THE STORY OF SEVEN COLORS』のファイナル、東京ガーデンシアター公演が12月16日に開催された。本ツアーは総動員数約4万人を記録するほどの反響で、昨年10月の東京体育館、今年5月の日本武道館2daysと着実にステップアップを遂げてきた彼女たちにとって2024年のグループの成長を裏付けるツアーとなった。本記事では2日目の模様をレポートする。 【画像】FRUITS ZIPPER、東京ガーデンシアター公演のライブ写真(全19枚) 定刻を少し過ぎ暗転すると、録音・撮影禁止などの注意喚起アナウンスのアニメーションが流れ、スクリーンには本ツアーのコンセプトムービーが映し出される。英語のアナウンスによって語られたのは、地球の隅っこにある小さな王国で7人のお姫様が生まれ、今で言う虹が出来上がるというストーリー。そして照明が灯ると「虹」で本編がスタート。おとぎ話のお城に登場するようなアーチ型の階段と、上部にはレースのカーテンが揺れ、ステージは宮殿のダンスフロアの装い。仲川瑠夏の芯のあるロングトーンによってガーデンシアターに虹がかかると、約半年前の「アイドル以上のアイドルを目指す」という決意の答え合わせをするように、メンバーカラーのプリンセス風ドレスを身にまとったメンバー7人は自信に満ち溢れた表情で手を振りながら客席を見渡し、再会の瞬間を噛み締めた。 すると再び暗転しSEが流れ始め、鳴り終わりの大歓声とともに「君の明るい未来を追いかけて」のイントロへ。早着替えして軽装になったメンバーが頭上にティアラを光らせ再登場し、櫻井優衣が「FRUITS ZIPPERです! 今日はツアーファイナル。みんな一緒に楽しみましょう!」と呼びかけると、中間部では月足天音のボーカルをかき消してしまうほどの「あまね」コールが沸き起こる。続く「完璧主義で☆」でも仲川の「東京ツアーファイナル!みんな声出していくぞー!」に焚きつけられた客席はめいっぱいのコールでシング・ア・ソング。詰めかけた約8,000人の盛況ぶりが四方八方に飛び交うオープニングとなった。 この日最初のMCで、真中まなが「私たちFRUITS ZIPPERが7人のプリンセスとなって、ここ東京ガーデンシアターにやってまいりましたー!」と出迎え、月足は生配信を視聴している全国のふるっぱー(ファンの呼称)への呼びかけも忘れない。「ぴゅあいんざわーるど」では、ジェットコースターのようにめまぐるしく展開していくソロパートに感化されたかのようにステージ前方のスモークが噴射され、「ハピチョコ」のオープニングでは上手側に位置取った鎮西寿々歌が列をなすメンバーの口に順番にチョコレートを1個ずつ入れていくような仕草でライブならではのパフォーマンスを見せ、「世界はキミからはじまる」では日頃の感謝を〈you are my treasure〉のメッセージに乗せてたっぷりと届けた。 櫻井の「みなさん楽しんでくれてますかー?」に続いて、メンバー各々のツアーの思い出を語り合うと、メンバーの総意として「卵かけご飯にハマったツアーだった」とのこと。「キミコイ」ではイントロから歓声が沸き、満面のスマイルではにかんだ鎮西に注目が集まる。そして重低音が鳴り響くインターバルを挟むと、ユニット曲をメドレー形式で披露するターンに突入。ピコピコと中毒性の高い「ぴんきーれっど!」のイントロでステージに現れたのは”あまれん姉妹”こと月足と松本かれん。ステージを縦横無尽に走り回りながら月足が松本に飛び蹴り(松本いわく「あまキック」)する場面があり、姉妹げんかのようでありながらもラストは手をつないで終わる流れは微笑ましかった。続くは仲川と早瀬ノエルによる「Bye-Bye」で、つやつやしい眼差しと大人感を増したボーカル&ダンスパフォーマンスに観客はハンズアップで応えていく。そのまま鎮西、櫻井、真中の3名による「天真爛漫」になだれ込むと、中盤では3人のしなやかなソロダンスがいかんなく発揮された。そして全員パフォーマンスに戻るかと思いきや、サプライズで披露されたのは松本のソロ曲「すーぱーかれんたいむ」。「みんなこっち見てー! かれんにまかせて!」の呼びかけに釘付けになった客席はピンク1色のペンライトで包まれた。 ここでオープニングに流れたコンセプトムービーの前日譚となる映像がスクリーンに映し出される。7色の鳥の死をきっかけに生まれた7人のプリンセスが、モノクロだった世界を色鮮やかな景色へと生まれ変わらせたというもの。そして虹色の生地が使われた新衣装にチェンジした7人が再登場すると、櫻井が「みなさーん!ツアーファイナルいちばんかわいく踊ってください!」と誘い「わたしの一番かわいいところ」へ。そしてセットリスト序盤で歌われることも多い他己紹介ソング「うぇるかむとぅ~ざ♡ふるっぱー!」では、鎮西が本ツアーの名古屋公演でウケたという「しゃちほこーからの二足歩行!」をきっかけに「バリバリ江東区ビッグラブ!BKB!ヒィーア!」からの「ファイナルふるっぱーファミリー!FFF!ヒィーア!」と3連発でギャグをキメて客席から大喝采を浴びた。続く「Going!」では激しく点滅する何本ものレーザーが交錯し、〈Jumping!〉と繰り返しながら会場を揺らしにかかった。 ここでMC。真中が水を飲む際にむせてしまうも「かわいいですかー?」という問いに、松本と仲川より“NEW KAWAII”認定をもらう一幕も。それぞれのユニット曲を振り返り、「私たちの新しい一面が見れる新曲を聴いてください」と告げて披露された「スターライト・ヴァルキリー」では、マリオネットのような儚く憂いを帯びた表情や力強いダンスで楽曲の主人公に憑依し、鎮西と月足がウインクとともに〈私だけ見て〉をカメラ目線でキメるなど、グループにとって新境地となる決意のエレジーとして響き渡った。そんな勢いそのままに早瀬のタイトルコールで「RADIO GALAXY」をドロップすると、次元を超えていく緩急のビートに乗りこなしながら熱狂的な空間を演出した。 本編もラストスパートを告げながら「この曲は私たちFRUITS ZIPPERにとって本当に大切な1曲で、伝えたいこと、歌いたいこと、いま届けたい想いがたくさんたくさん詰まった1曲です」という真中のMCに続いて披露された代名詞「フルーツバスケット」では、ステージに7つのフルーツが光るネオンサインが灯り、仲川が「今日はツアーファイナルです! ここにいるみんなと配信を観ているみんなもたくさんの『おめでとう』を聞かせてください!」とリクエストすると「超めでたいソング ~こんなに幸せでいいのかな?~」へ。その日会場に集まったふるっぱーをたたえるようにライブ終盤で披露されることが多い“ちょめでたソング”。2番では櫻井、仲川、月足が互いの手の甲にキスをしてじゃれ合う場面もありつつ、ツアーファイナルの万感の思いを会場一体となって分かち合った。そして本編ラスト「NEW KAWAII」では客席に7色のカラーテープが噴射され、中盤のNEW KAWAIIエピソードを話すターンでは松本が「私はファイナルまでひとりも欠けずに駆け抜けたFRUITS ZIPPERがにゅーかわいいと思います!」とメンバーをねぎらい、会場が幸福感に包まれたまま大団円となった。 アンコールに応える形で再び衣装チェンジしたメンバーがステージに現れ、早瀬が「アンコールをしてほしいっていう気持ちが強すぎて過去一揃ってなかった(笑)」とツッコミを入れると、「そういうみんなもにゅーかわいいと思います!」とほめてから質問コーナーへ。「ツアーでいちばんおいしかった卵かけご飯どこですかー?」「目玉焼きにかけるもの何―?」「今日の髪型のポイント教えてー!」の質問が投げかけられ、「どうしてそんなにかわいいのー?」には仲川が「いつもみんながかわいいって言ってくれるし~ハムハム共和国の国王だからでーす!」とキメて歓声を浴びた。そして「NEW KAWAII」のTikTok撮影と記念撮影を終えると、この日2回目の「フルーツバスケット」で7人が客席側に足を運び、至近距離でファンサする展開に客席は大興奮。ここで、さいたまスーパーアリーナで開催されることがすでに発表済みの『FRUITS ZIPPER 3rd ANNIVERSARY 超めでたいライブ』に神戸ワールド記念ホール2公演が追加されることがサプライズ発表され、会場はステージも客席も一体となって歓喜の渦に包まると、2024年の活動を振り返るように「NEW KAWAII」が再び届けられ、7人それぞれの“NEW KAWAII”エピソードを発表し、最後には「FRUITS ZIPPERを見つけてくれたみんなのことがにゅーかわいいと思います!」と感謝を伝えながらエンディング。追加公演も含めて全国12都市15公演に及ぶ初の全国ホールツアーは終幕となった。 最後のMCはメンバーを代表して真中が担当。「こんなに大きい会場が15公演もできるなんて本当に思ってなかった」と話すと、月足が「淋しくなっちゃった」と涙を流す。そして「どうしても達成したい目標をみんなで掲げて応援してくれたときに達成できなかったことを伝えるのが本当に苦しかった時期があった。心が折れそうになっちゃうこともたくさんあったんです。でもステージに立つたびにみんながたくさんたくさん応援してくれて、ライブがあるたびに倍以上の笑顔でたくさんたくさんパワーを送ってくれて、私たちは本当に幸せだなってとても実感しました。こうやってみんなを幸せにできるなら、これから先挫折することがあっても、私たちずっとここで歌って踊り続けたいなって本当に心の底から思いました」と感謝を述べ、「今回のツアーを通して改めてふるっぱーのみんなのことが大大大好きになりました! これからも私たちいっぱい無茶なお願いすると思うんですけど、ついてきてほしいです!」と伝えると会場は拍手喝采に包まれ、「それでは以上、私たちFRUITS ZIPPERでした! ツアー15公演、本当に本当にありがとうございましたー!」と名残惜しそうに別れを告げた。その後スクリーンに流れたコンセプトムービーで、7人のプリンセスが世界に彩りをもたらしたお話は「Fin.」の文字でフィナーレを迎えた。 2025年もファンクラブツアー、結成3周年記念のアリーナ公演と目白押しのFRUITS ZIPPER。大きな夢の実現に向けて、“NEW KAWAII”を届ける彼女たちの旅はまだまだ続く。 <SET LIST> M01 虹 M02 君の明るい未来を追いかけて M03 完璧主義で☆ M04 ぴゅあいんざわーるど M05 ハピチョコ M06 世界はキミからはじまる M07 キミコイ M08 ぴんきーれっど! / 月足天音、松本かれん M09 Bye-Bye / 仲川瑠夏、早瀬ノエル M10 天真爛漫 / 鎮西寿々歌、櫻井優衣、真中まな M11 すーぱーかれんたいむ / 松本かれん M12 わたしの一番かわいいところ M13 うぇるかむとぅ~ざ♡ふるっぱー! M14 Going! M15 スターライト・ヴァルキリー M16 RADIO GALAXY M17 フルーツバスケット M18 超めでたいソング ~こんなに幸せでいいのかな?~ M19 NEW KAWAII M20 フルーツバスケット M21 NEW KAWAII
栄谷悠紀
【関連記事】
- 連載「lit!」第132回:FRUITS ZIPPER、超ときめき♡宣伝部……2024年アイドルシーン象徴する4曲+1曲
- FRUITS ZIPPER、CUTIE STREET……KAWAII LAB.が若者に刺さる理由は「とか」にあり?
- FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETが集結! 合同ライブで体感した「KAWAII LAB.」の勢い
- FRUITS ZIPPER、念願の武道館で広めた“NEW KAWAII”の輪 2万4千人集客の2周年ライブを振り返る
- 超ときめき♡宣伝部、FRUITS ZIPPER、新しい学校のリーダーズ……TikTokバズを生み出すダンスの傾向