マイニング事業は原子力に向かう──共生による相乗効果とは
11月初旬の選挙で米共和党が大統領、上下院の3つすべてを抑え、連邦政府の政策がさらなる普及を促進するという見通しを追い風に、ビットコイン(BTC)は史上最高値を更新した。ワシントンDCにおける規制の見通しに注目が集まる中、ウォール街ではマイナーの新たな利益率に注目が集まっている。 従来の商品生産者にとって、価格上昇とコスト削減が利益率を拡大させるように、ビットコイン価格の上昇とエネルギーコストの低下はマイニング事業をより経済的なものにする。投資ポートフォリオにおけるビットコインの普及拡大に加えて、マイニング事業はウォール街における新たなM&Aの波の焦点となっている。 米電力会社タレン・エナジー(Talen Energy)が10月3日にマイナーのテラウルフ(TeraWulf)のマイニング施設「ノーチラス・クリプトマイン(Nautilus Cryptomine)」を100%買収したことは、この傾向を示す好例だ。 ノーチラス・クリプトマインは、タレンの隣接するススケハナ原子力発電所(Susquehanna nuclear facility)から電力を供給されている。ビットコインマイニング事業と原子力発電所の共生関係は、ビットコインマイニング事業者とエネルギー生産者の双方にとって典型的なモデルとなる可能性を秘めている。 原子力発電は、マイニング事業者に信頼性が高く、比較的安価な電力を供給することができ、一方、マイニング事業者は、原子力発電の1メガワット当たりの価値を最大化するために、安定した収益源を提供することができる。 大手テクノロジー企業が旺盛なエネルギー需要を満たす方法を模索し、政策立案者がエネルギーを確保するためのよりクリーンな代替策を模索する中、原子力はウォール街とワシントン両方の中心的な議題となりつつある。 連邦議会議事堂では今年、上院議員と下院議員が、圧倒的多数の超党派の支持を受けて、原子力法案を可決した。 党派間の対立が激しい時代にあって、「クリーンエネルギーのための多用途先進原子力の導入促進法案(Accelerating Deployment of Versatile Advanced Nuclear for Clean Energy:ADVANCE)」は、上院で88対2で可決され、下院でも393対13で可決された。これは、両党の有力者による後押しと支持を多く得た下院の「原子力エネルギー促進法(Atomic Energy Advancement Act)」および上院の「核融合エネルギー法(Fusion Energy Act)」に続くものだ。 また、ホワイトハウスは最近、2050年までに200ギガワットの新規原子力発電容量を増設し、アメリカの原子力発電容量を3倍にするという枠組みを発表した。つまり、原子力は現在、政治の両陣営から多大な支持を得ている。 議員たちが暗号資産(仮想通貨)と原子力発電の両方について規制上のハードルをクリアしようとしているため、この動きは今後も両者の共生による相乗効果を促進し続ける可能性がある。 ビットコインとウランが、アメリカが両方の投資と発電に対する考え方を変えるにつれて、同じ潮流に乗って上昇し続ける可能性があることを考えると、この動向は注目に値する。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Miners Going Nuclear: A Symbiotic Synergy
CoinDesk Japan 編集部