定年で退職金をもらった直後の「絶対NGな行動」 年金の「繰り下げ受給」で激変する老後マネー
■下手に運用に手を出すと 田島:だと思いますよね。(老後に)もらえる収入としては年金がいちばん大きいですし、なおかつ繰り下げることによって額も大きくできるという意味では、老後資金の確保に最も効果的です。 それ以前にまず、そもそも自分が年金をいくらもらえるのか把握していない、「ねんきん定期便」が来ても見ていない、という人は多いと思います。そこがクリアでなければ計画も立てられない。 まずは基本情報を把握して、じゃあ繰り下げるといくらになるか、一度ご自身で計算されてみるといいのではないでしょうか。
高井:世の老後資金セミナーに出ていらっしゃるような方々だと、すでに資産もあって、ちゃんと計算すれば年金がけっこうもらえることもわかって、受給を繰り下げれば老後のお金の不安はほぼないはずですよね。 田島:実際、ファイナンシャルプランナーの方に老後のマネープランのシミュレーションをしてもらったのですが、50代まで資産運用をまったくしたことのない人でも「60歳から始めれば間に合います」とのことでした。
ただその時に柱になるものは何かというと、やっぱり年金受給の繰り下げなんですね。「下手に運用なんかに手を出すと食い潰すリスクもあるので、年金を信じてみるのが最も賢い手だ」とのことでした。 高井:そうですね。個人的には、退職金をもらって最初にやってはいけないことは「金融機関の営業マンに会うこと」だと思います。調べるのはいいけど、訳のわからない状態で営業トークを聞いて、勧められるままに金融商品を買うのはいちばんよくない。
田島:ただ、口座に退職金が入ると金融機関は電話してきますからね(笑)。まとまったお金が入ったから全部運用に回す、なんてことは最悪の手ですから、その前に把握する、計画を立てることが重要です。
田島 靖久 :東洋経済 記者/高井 宏章 :経済コラムニスト / YouTuber