SEO EVE「Malatanghulu」バイラルヒット 12歳が生み出す「タンタン フルフル」の中毒性
「猫ミーム」に続き、無邪気な子供の声がもたらす中毒性の高さ
そんな波乱のバイラルチャートのなかで異彩を放つのが、今週2位にランクインした韓国のクリエイター SEO EVEによる「Malatanghulu」だ。TikTokやInstagramでのバズがバイラルチャートにも派生した「Malatanghulu」のランクイン。2012年生まれの若きクリエイターが引き起こしたこのバズ現象に迫ってみよう。耳馴染みのないタイトル「Malatanghulu」は、中国・四川省が発祥のピリリと辛いスープ料理「マーラータン(麻辣湯)」とフルーツを串に刺し、糖蜜でコーティングした韓国で爆発的なブームとなった中国発祥の甘いお菓子「タンフル」を繋ぎ合わせた造語である。歌詞には、このふたつの食べ物が重要なモチーフとして登場する。その歌詞というのは、恋心を辛いマーラータンと甘酸っぱいタンフルになぞらえながら、憧れの先輩にマーラータンとタンフルをねだるというもの。非常にシンプルで他愛もない内容ではあるが、注目すべきはその語感である。「タンタン フルフル」「タンタンタン フルルルル」と「マーラータン」「タンフル」のふたつがリズミカルに組み合わされていく。その軽快なリズムと子供のような無邪気な歌声が重なりあうことで親しみやすいサウンドとなっているのだ。 このキャッチーさはTikTokやInstagramのようなショート動画プラットフォームと相性が良く、ダンスチャレンジとして多くのダンス動画が投稿されている。 ここで思い出されるのが、「猫ミーム」の流行に起因するチリの子役・Christell Rodriguezによる楽曲「Dubidubidu (Chipi Chipi Chapa Chapa)」のバズである。この楽曲も、やはり言葉の意味がつかめなくても「チピチピチャパチャパ」と口ずさむことができるリズミカルでシンプルな歌詞と無邪気な子供の歌声が大きなフックになっていたように思う。そういう意味で「Malatanghulu」は、「Dubidubidu (Chipi Chipi Chapa Chapa)」と同様に楽曲そのものの魅力を動画SNSによるムーブメントが大きくブーストさせる音楽の新しいトレンドを象徴する楽曲だろう。そして偶発的に盛り上がった「Dubidubidu (Chipi Chipi Chapa Chapa)」のバズとは一線を画す「Malatanghulu」は、現代の音楽シーンで勝ち上がるためのモデルケースを体現した非常にクレバーな楽曲とも言えるのではないだろうか。SEO EVEが12歳の若さであることに末恐ろしさを感じながらも、俳優や歌手、インフルエンサー、動画クリエイターと幅広い肩書をもつ彼女の今後の活躍に期待したい。 ※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-05-29
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