「安楽死」制度化が進むカナダで「死者数の3.3%が安楽死」はいいことなのか ALS嘱託殺人で医師に懲役18年
お金のない人たちが安楽死に追い込まれる可能性も
佐々木)ヨーロッパやカナダで議論としてもう1つあるのは、お金の問題です。お金持ちは莫大な資産で健康を維持するけれど、たいした医療を受けられない、お金のない人たちがみんな安楽死に追い込まれてしまう可能性があり、「もう少し慎重になるべきだ」という議論もあります。個人の自由と社会的な抑圧、または貧困に追い込まれた人々の安楽死に対する判断。そのバランスをどこまで取るのかは難しい。だからと言って、死にたい人に対して「死なせるな」と言うのも、ある意味、人間の自由を侵している感じがあります。日本でやるなら慎重に、冷静に議論して欲しいです。 飯田)かつて臓器移植法をつくったときは党議拘束を外し、それぞれの議員の良心にかけてしっかり投票するという議論がありました。 佐々木)そのぐらいの意識が必要だと思います。ちなみに、最初に日本で心臓移植を実施したのは北海道の病院でした。結果的に患者さんは亡くなってしまい、医療過誤のような形で医師が刑事告発されてしまった(不起訴処分)。あれで移植が進まなかったという、非常に大きな出来事があったので、そうならないように議論して欲しいと思います。