舞、謡い荘厳 弘前城御能350年祝う
弘前城で初の能が行われてから今年で350年となることを記念して3日、弘前市民会館で「弘前城御能(おのう)」が開かれた。人間国宝の山本東次郎さん(狂言、大蔵流)や青森市出身の野月聡さん(シテ、宝生流)ら豪華出演者が荘厳な舞や謡(うた)いで節目を祝った。 弘前市や弘前商工会議所などでつくる「文化こうりゅう事業実行委員会」が主催した。 2部制で行われ、第1部は野月さんが主演の祝言曲「高砂」に始まり、狂言の「茸(くさびら)」、人間国宝の大倉源次郎さん(小鼓、大倉流)と三島元太郎さん(太鼓、金春流)のはやし演奏で、観世流・上野朝義(うえの・ともよし)さんが演じる「羽衣」などが上演された。舞い方や謡いの抑揚で観客に喜びや悲しみの感情を伝えた。 「茸」では演目に弘前第二中学校演劇部の生徒8人がキノコ役で出演。生徒はしゃがんだまますり足で舞台上を歩き回り、山伏の祈禱(きとう)もむなしく増え続けるキノコの様子をコミカルに表現した。 堤萬里子さん(54)=同市在住=は「節目の年に見ることができて感激」と満足げだった。桜田宏弘前市長は「文化都市としての弘前の姿を10、20年後を背負う子どもたちにつないでいきたい」と話した。 市によると、1674(延宝2)年11月、弘前藩4代藩主津軽信政が弘前城本丸に能の舞台を建設。同月2、3日のこけら落としでは家臣のほか町人も城内に招かれ能や狂言を楽しんだという。