築120年の古民家をDIYで交流拠点へ…過程から楽しむリノベーション 解体ワークショップに県内外から33人参加 伊佐市
鹿児島県伊佐市大口牛尾で9月28、29日、古民家を再生してゲストハウスや交流の場をつくるイベントがあり、計60人が参加した。古民家は同市地域おこし協力隊の田中久美子さん(40)がDIYで整備を進める築120年超の空き家。初日の見学会に続き、2日目は解体のワークショップがあった。参加者はハンマーやバールを思いきり振るい、楽しそうに壁や天井を壊していた。 【写真】古民家の応接間の壁や天井をはがす参加者=29日、伊佐市大口牛尾
田中さんは秋田県能代市出身。2023年1月に隊員になり、夫・芳和さん(48)の母の実家がある伊佐市大口青木に住んでいる。同年8月、大口牛尾の空き家を知って一目ぼれした。母屋は約250平方メートル、納屋や庭を含めた敷地面積は約660平方メートルと広い。地域にある牛尾鉱山の事務所や、戦時中は日本軍の宿舎として使われ、憩いの場や避難所、子どもたちの遊び場にもなっていたという。 「本来の役割を取り戻し、伊佐の暮らしをテーマにした宿泊施設にしよう」と夫婦でリフォームに着手した。9月29日のワークショップには県内外から33人が訪れた。空き家再生の先進事例を学んだ後、解体に着手。ほこりにまみれながら、2時間半かけて応接間の内壁や天井をはがした。地域住民は駐車場を貸したほか、食事作りで手伝った。 見学会に参加した近くの中原康展さん(76)は「子どもの頃、庭で野球や缶けりをしたり、雨の日は広い部屋の中で相撲を取ったりして遊んでいた。地域に開放されるのはうれしい」と期待した。今後も参加型の改修作業を続ける予定で、田中さんは「皆さんのおかげで作業が想定以上にはかどった。人の温かさが感じられる施設にしたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島