【山口県】[下松市/部活地域移行]中学全3校の吹奏楽部が地域移行 保護者負担、指導者確保の課題残る
中学部活動が地域のクラブ活動に移行する部活動地域移行。学校の部活動として励んできた活動を地域全体で支え、子どもたちの幅広い活動機会を確保するためとしている。一方、当初掲げていた教職員の働き方改革とは相反して、指導者が見つからないため教員が指導者を担うケースが多数ありそうだ。
教員が指導は変わらず
徐々に学校部活動の日数を減らして地域クラブに移行する方針の下松市では、11月の終わりから12月初旬にかけて、市内の3つの中学校をそれぞれ拠点とする3つの吹奏楽クラブが立ち上がった。 保護者が中心となって設立し、指導者は現在の吹奏楽部の顧問。活動場所は各学校で楽器も学校のものを活用する。学校部活と並行して活動し、26年度の完全移行を目指す。 活動中に楽器が壊れても学校備品として市が対処するが、地域クラブでケガをした場合はクラブで加入する保険で対応する。 指導する人は同じでも、活動日によっては“教員”“指導者”と立場が変わる。
異動を抱える教員
教員は市内外を問わず異動があり、今の指導者が次の4月にいなくなる可能性は十分にある。後任の教員がそのまま指導者を務めるのか、拒否すれば指導者不在になるのかは不明な状態。 市は団体規約に関与しておらず、各団体の保護者や指導者間でどのような取り決めになっているかは不透明な状況になっている。
市の提案で3校の保護者が協議
これまでは学校が部活動の会計、登録手続き、遠征時の手配などしてきたが、地域クラブでは保護者か指導者が対応することになる。 この吹奏楽クラブの形態は他市の事例や、活動場所の課題から市が提案。説明会などを経て、3校の保護者らが会議を開いて方針を定めたという。 他市でも吹奏楽は運営に多くの課題を抱えているため、初動の遅れによる吹奏楽人材の流出を防ぎたい思いから、他の部活動に先駆けて動き出した。
光市も方針打ち出す
光市では11月30日に市内の団体を紹介するイベントを実施、未だ登録がない吹奏楽の活動方針を説明した。 同市では26年度にひかり吹奏楽団がクラブ立ち上げを検討中で、25年度には市内の全中学校と同楽団の合同練習を月に2回設ける。 来年度の入学者で吹奏楽に携わりたい生徒は、各校の吹奏楽部に入部して合同練習を重ねながら、地域クラブが立ちあがったら移行する。 各市で顕著に違う地域クラブの体制。勤め先の市によって変わる教員の負担や、金銭面や送迎以外にも増えつつある保護者の負担。 スポーツ庁と文化庁からは、「地域移行」から「地域展開」へ呼び方の変更案が出て話題を集めている。子どもたちの幅広い活動の機会は確保できるのか。