海沿いを走る地下鉄新型車両は「青い食パン」…子どもの目線に合わせた大きな窓を設置
福岡市地下鉄の空港線と箱崎線の新型車両「4000系」の運行が29日、始まった。旧型車両の老朽化に伴う車両更新で、開放感のある車内空間や景色を楽しめる大きな窓が特長。両線の新車両導入は1992年以来、32年ぶりとなる。(林航)
空港・箱崎線は1編成あたり6両で運行する。市交通局によると、空港線では81年の開業以来「1000系」を運行し、93年の博多―福岡空港間の延伸に合わせ「2000系」が導入された。現在はそれぞれを改修した「1000N系」と「2000N系」が運行している。
4000系は4月から試験走行を行っており、2027年度までに現行の1000N系18編成と順次切り替える。総事業費は約210億円。来年3月には車両更新に合わせた増便を行い、ピーク時の混雑率は130%から125%に低減する見通しとなっている。
新型車両のデザインは、現行の濃い青のラインを引き継ぎ、中央部に福岡空港をイメージしたスカイブルーのラインが施されている。乗車定員は現行並みの1両あたり145人程度。7人掛けの座席を6人掛けとし、通勤電車として国内最大級の座席幅を確保した。
空港線の車両は、姪浜駅以降、JR筑肥線に乗り入れるため、全国的にも珍しい「海沿いを走る地下鉄車両」として知られる。新型車両では、子どもたちが海の景色を楽しめるよう、各編成の6号車に子どもの目線に合わせた大きな窓が設置されている。
また、防犯対策として、各車両には4台の防犯カメラを設置。交通局でリアルタイムで監視できるほか、非常通報ボタンが押された場合、運転台のモニターに映像が表示され、乗務員も即時に状況を把握できる。
29日、姪浜駅で出発式が行われ、高島宗一郎市長は「前面がストンと切れたような形が『青い食パン』と話題になっている。長く愛される車両になってほしい」とあいさつ。午後3時、高島市長が右手を上げて「出発進行」と合図すると、一番列車がホームを出発した。集まった鉄道ファンらは真新しい車内の座席に座ったり、写真を撮ったりしていた。