映画『WHAT DIVIDES US』日米共同制作決定 米国人ジャーナリストと日本人教師の絆描く
日米共同制作映画『WHAT DIVIDES US(原題)』の制作が決定した。 日本に原爆が投下されて80年を迎える2025年。本作は、「核兵器に基づく世界の体制とは何か」をあらためて世に問うため、日米映画界のクリエイターが集結し、2014年から構想10年、2022年から脚本開発され制作される劇映画。 【写真】『WHAT DIVIDES US』 アメリカ人ジャーナリストのジョン・ハーシー 世界に初めて原爆の真実を伝えた1人のアメリカ人と1人の日本人の姿を描く本作。敵だった国の2人の男の間に生まれた思いがけない絆、悲劇とそれを乗り越える力、そして愛を描いた物語で、国の壁を超えて深い友情を築いたアメリカ人ジャーナリストのジョン・ハーシーと広島の谷本清牧師が、原爆の真実を暴こうと決意する人間ドラマだ。 ハーシーは原爆投下後のアメリカ政府や軍が、広島・長崎の惨禍を秘匿する中、大きなリスクを冒して広島に取材に入り、被爆者の声を世界に伝えようとしたジャーナリスト。軍部からの圧力の中、ニューヨーカー誌はその存続をかけて1946年8月にハーシーの記事「Hiroshima」を掲載した。原爆投下後の日本を詳細に描いたルポで、広島の核兵器による惨禍を初めて知った世界は驚愕し、戦後の核兵器に対する人々の考え方に大きな影響を及ぼした。そんな「Hiroshima」の舞台裏にはひとりの日本人・谷本牧師の知られざる協力があった……。 ハーシーの「Hiroshima」を題材にした初の劇映画であると同時に、谷本牧師の未発表の回想録にインスピレーションを受け、日本人の視点からも原爆の真実に迫っていく。 プロデューサー陣には、ハーシーの孫で、「Hiroshima」がテーマのドキュメンタリー『Hiroshima Revealed』で知られるキャノン・ハーシー、『ハワーズ・エンド』『日の名残り』『ツリー・オブ・ライフ』などのドナルド・ローゼンフェルド、『エフィー・グレイ』『クリーチャー・フィーチャーズ』『インフォデミック』で知られる、映画・テレビプロデューサー・セールスエグゼクティブのロビン・ローゼンフェルドがアメリカから参加。日本からは、NHK大河ドラマ『龍馬伝』、NHK連続テレビ小説『エール』などを手がけた元NHKのプロデューサー・土屋勝裕、ピーボディ賞を受賞したこともあるニューヨークのドキュメンタリー・映画プロデューサー・西前拓が集結した。 脚本は、テレンス・マリック監督作『名もなき生涯』で製作を務めたエリザベス・ベントリーが手がけた。さらに、エグゼクティブプロデューサーとして、「Hiroshima」にも登場する谷本家の1人で、生後8カ月で被爆した近藤紘子や谷本建、谷本純、谷本信、河加奈枝が参画した。 8月1日に広島市政記者クラブで制作発表記者会見を行ったキャノン・ハーシーと近藤は、8月2日に松井広島市長と懇談し、映画についての意見交換を行う。 なお本作は、2025年にアメリカと日本で撮影され、その後世界公開される予定だ。
リアルサウンド編集部