中国BYD、月間販売台数が初の「50万台超え」達成 EVとPHVに集中、2024年の通期で400万台突破へ
中国のEV(電気自動車)最大手の比亜迪(BYD)が、同社の歴史に残る快挙を成し遂げた。2024年10月の自動車販売台数が50万台を超え、中国の自動車メーカーの月間記録を塗り替えたのだ。 【写真】広東省深圳市のBYDの本社工場 BYDは2022年4月にエンジン車の生産中止を宣言し、EVとPHV(プラグインハイブリッド車)だけを生産・販売している。同社の発表によれば、2024年1月から10月までの販売台数は累計325万500台と、前年同期比36.5%増加。この勢いが続けば、通期の販売台数は400万台を突破する見通しだ。
■2021年から破竹の急成長 中国の自動車業界では、国有大手の上海汽車集団(上汽集団)が年間販売台数首位の座を過去18年にわたり守ってきた。しかし2024年のランキングでは、BYDが首位の座を奪うのが確実な情勢だ。 本稿の締め切り時点で、上汽集団はまだ10月の販売実績を開示していない。だが、1月から9月までの販売台数は前年同期を約2割下回る264万9300台にとどまっている。 BYDは2003年に自動車事業に参入して以来、2020年までの年間販売台数はずっと50万台未満だった。そこから破竹の急成長が始まり、2021年は73万台、2022年は187万台、2023年は302万台を販売。世界の自動車メーカーの販売台数ランキングでもトップ10入りを果たした。
販売台数だけでなく業績で見ても、BYDはすでに世界のトップレベルにある。同社が10月30日に発表した7~9月期決算では、売上高が前年同期比24%増の2011億2500万元(約4兆3186億円)に達し、四半期ベースでアメリカのテスラを初めて上回った。 なお、テスラの7~9月期の売上高は251億8000万ドル(約3兆8433億円)だった。とはいえ純利益や時価総額などの尺度で見ると、BYDとテスラの間にはまだ相当な開きがある。
テスラとBYDの大きな違いは、前者が(駆動力に電池だけを使う)バッテリーEV(BEV)に特化しているのに対し、後者はBEVとPHVの両方を手がけていることだ。 ■PHVは世界首位を独走 市場調査会社のトレンドフォースのデータによれば、2024年4~6月期に全世界で販売されたBEVにおいて、テスラは19.1%の市場シェアを獲得して首位を堅持。BYDはそれに肉薄する18%で第2位につけた。 一方、PHVの世界販売では、4~6月期のBYDのシェアは36.1%に上り首位を独走。第2位の中国の理想汽車(リ・オート)に28.5ポイントもの大差をつけている。