亡き父の思い「愛情」込めた料理を 母と娘でつくる総菜と弁当の店 岩手・北上市
岩手めんこいテレビ
惜しまれながら閉店した岩手県北上市の中国料理店が総菜の店としてリニューアルオープンした。料理には亡き父が大切にしてきた「愛情」が込められている。 北上市堤ケ丘に2024年10月にリニューアルオープンした「お惣菜お弁当corin」の店主・菅原香奈子さんは、「ずっと父は『料理は愛』と言っていた。愛情を持って盛り付けをしたり『意識してやっていこうね』という話を母としている」と話す。 以前は「煌林」という中国家庭料理の店だったが、2023年に店主の佐竹利夫さんが亡くなり惜しまれながら閉店した。 その後、娘の菅原香奈子さんと母の佐竹朋子さんがイートインもできる総菜店として営業を再開した。 店主の菅原さんは以前は総菜工場の営業として働いていたが、惣菜の需要が年々伸びていると感じ、また自分で飲食店をやってみたいという思いがずっとあったことからリニューアルオープンしたという。 看板メニューは亡き父の味を受け継ぐエビチリだ。母・佐竹朋子さんが当時の味を再現している。 佐竹朋子さん 「(これまで)側で見て『あれ入れていたな』とか。なんでも手作りが基本。エビ油も自分で作り仕上げにかけている」 プリプリのエビチリと香ばしいチャーハンが味わえる満足感たっぷりの「煌林風エビチリ弁当」は、エビのうまみを凝縮したエビ油がコクと風味をプラスしている。 当初は味のばらつきがあったものの、最近では父の味に近づいてきたという。佐竹さんは「愛情込めて作るのが一番大事と言っていた」と教えを胸に刻んでいる。 手作りの思いを大切にしながら中華弁当のほかに以前はなかったメニューも始めた。 ボリュームたっぷり「チャーシュー丼」は、とろみのある自家製ダレが味の決め手だ。 店主 菅原香奈子さん 「しょうゆベースでオイスターソース・ニンニク・ショウガを利かせたソースになっている。試作を進めながらご飯と肉のバランスがよくなるように仕上げた」 来店客は「値段も手ごろ。おいしいと聞いていたので『やっと来れたな』という感じ」「作るのが面倒なときが多いので近くに開店してくれてすごく助かる」と地域の日常生活に溶け込んでいる様子がうかがえる。 リーズナブルでおいしいと好評の「corin」は、「誰でも食べやすく」を目指している。 さらに、子供から高齢者まで幅広い客層を意識し、ハンバーグとナポリタンもメニューに加えた。ナポリタンは「もちもちした食感のパスタを使って、ケチャップは多めに使用しバターと牛乳も入れてこう酸味が立ちすぎないように作っている」と、菅原さんは説明する。 手ごねハンバーグはオリジナルのデミグラスで、しょうゆを足すことでより親しみやすい味わいに仕上げた。 柔らかな食感とソースのまろやかな味わいが食欲をそそる。 店主の菅原さんは「結構リピーターさんもいらっしゃる印象で、今まで来られなかったお客様にも来ていただけて、煌林の味をこの店で食べて知ってもらえてすごくうれしい」と喜びを語る。 かつての「香霖」で人気だった春巻きやシュウマイも復活させた。 食べる人を笑顔にした父の味を守りながら、新しい挑戦を続ける母と娘でつくる総菜と弁当の店だ。
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