長澤まさみら稀代の演技者が集結 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は今観たい1作
ダー子(長澤まさみ)の捉えどころのなさが癖になる
とはいえ、『コンフィデンスマンJP』シリーズ最大の見どころは、なんといっても主演の長澤まさみの座長ぶりではないだろうか。くるくると変わる表情や、大小高低と自由自在に操る声には、演技者としての彼女の“業”が詰め込まれている。一つひとつの芸が光っている。脚本の時点ですでに掴みどころのないキャラクターなのだろうが、これを長澤が“業”を尽くして体現しているからこそ、ダー子はより身近で、それでいて決してその実態を掴むことのできない存在となっているのだ。このダー子の捉え難さが、そのまま『コンフィデンスマンJP』の飽きない魅力につながっているのではないかと思う。 しかも、長澤が生み出したダー子は、とにもかくにもポジティブなオーラをまとったエネルギッシュな人物だ。2024年をもうひと踏ん張りするのに、彼女の力を借りるのはありだと思う。そして本作には、若くしてこの世を去った三浦春馬さんと竹内結子さんという稀代の演技者のパフォーマンスも収められている。あのふたりは何を遺したのか。この機会に噛み締めてみたい。『コンフィデンスマンJP プリンセス編』はただの痛快な作品ではなくなるだろう。
折田侑駿