「おかえり」大阪の洗濯店にある仙台育英の“交換日記” センバツ
「また戻ってきました! センバツ期間またお世話になります」「おかえりなさい! 応援しています」――。大阪市東淀川区のコインランドリー「ベニーランドリー新大阪店」。店内の机に置かれた1冊のノートでメッセージがやり取りされている。開催中の第95回記念選抜高校野球大会に出場し、近くの宿舎に泊まる仙台育英(宮城)の部員と地元の利用客による「交換日記」だ。 コインランドリーを経営する中西あかねさんによると、ノートは利用客同士の交流を目的に2017年の開業以来置いている。仙台育英の野球部員らは5年ほど前から、甲子園に出場すると洗濯に利用し、ノートに試合への意気込みなどを書き込んでいた。同校が東北勢初の甲子園大会制覇を果たした昨夏にはノートがSNS(ネット交流サービス)で話題を呼び、全国からファンが訪れたという。 1983年の池田(徳島)以来40年ぶりの「夏春連覇」を目指す仙台育英。3月中旬、大阪入りした面々が店を訪れ始めると、「いつも元気もらってます」などと応援メッセージがつづられた。中西さんは「明るくあいさつしてくれ、礼儀正しい。このあたりの人はみんな、仙台育英を応援していますよ」とほほ笑む。 ユニホームなどの洗濯を担当する部員の一人、住石孝雄さん(3年)は昨夏、甲子園の土を踏んだものの2月に手の指を骨折し、メンバー入りを逃した。ノートを通じての応援に「とてもありがたい」と顔をほころばせ、「メンバー外の部員も一丸となって日本一を目指していることを伝えたい」と力を込める。 センバツ初戦の21日に慶応(神奈川)との大接戦を制した仙台育英は28日、古豪の龍谷大平安(京都)と対戦する。中西さんは「親戚の子どものような気持ちで見守っている。悔いが残らないように力いっぱい頑張って」とエールを送る。【平家勇大】