「何一つ変わらない現実」米兵の性暴力事件に抗議、沖縄で県民大会
昨年末から沖縄で米兵による性暴力事件が相次いでいることに抗議する「県民大会」が22日、沖縄市の沖縄市民会館で開かれた。主催者の大会実行委員会の発表で約2500人が参加。被害者への謝罪や補償、日米地位協定の抜本改定などを求める決議案を採択した。 【写真】性暴力から守られない私たちの暮らし 米兵判決を機に考える社会構造 沖縄の県民大会は過去、県議会が中核となり、県内各団体が超党派で集まって沖縄の声を訴える形で開催されてきた。ただ近年は与野党の対立が深まり、超党派開催は2012年が最後。今回は県議会は主催に加わらず、県女性団体連絡協議会など女性団体が主体となり「県民大会」として開催する異例の形式となった。 出席した玉城デニー知事は、繰り返される事件は米軍基地の集中という構造的な問題によるものだと指摘。「今もなお多くの県民が不安の中で基地と共存させられている。もっと大きく声に出し、行動していかなくてはいけない」と述べた。 若者のひとりとして登壇した沖縄大3年の中塚静樹さん(21)は、「沖縄に幾度となく押し寄せる悲しみの波はいつになれば止まるのか。日本政府はなぜ沖縄の声に寄り添おうとしないのか。安全保障を優先させ、県民の声に誠実に向き合ってこなかった政府にも大きな責任がある」と語った。 昨年12月末に起きた不同意性交事件の被害者と年齢の近い「沖縄高校生平和ゼミナール」の中高生3人のアピール文朗読では、1995年の少女暴行事件を受けた県民総決起大会の際に当時の高校生がスピーチした「軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」を引用。「あれから30年近く経っても何一つ変わらない現実に、私たちも同じことを言いたい」と訴えた。 事件をめぐっては県警も地検も「被害者のプライバシー保護」を理由に公表せず、政府も日米合意に基づく県への通報手続きをとっていなかったことが問題となり、通報体制が見直された。(棚橋咲月)
朝日新聞社