50議席減もある?自民「公認・非公認」騒動の末路、公明党も巻き込んで訳がわからない状態に
10月9日の会見で石破首相は、衆院選の勝敗ラインを「自公で過半数」と明言した。これは歴代の自民党総裁が建前として述べてきたことだが、今回の衆院選では「50前後の議席減」の予想も現実味をみせている。 それをカバーするのが公明党の存在だ。公明党は10月7日、自民党が公認しない候補について推薦しない方針を決定した。一応「裏金問題から距離を置く」という姿勢を示したわけだ。 ところが、その2日後の10月9日、公明党は「地方の党関係者と良好な関係を築いている」として、党員資格停止1年の処分を受けて非公認とされた西村氏(兵庫9)と三ツ林氏(埼玉13)のほか、「不記載」の前議員や支部長ら16人を含む174人を推薦することを決定した。
兵庫県内に中野洋昌氏(兵庫9)と赤羽一嘉氏(兵庫2)を擁立している公明党と、自民党兵庫県連会長を務めた西村氏の関係は深く、三ツ林氏も10増10減による衆院選挙区変更で、新14区に挑戦する石井啓一公明党代表に選挙区を譲った形になっている。 また比例重複を封じられた16人も、選挙区内の比例票すべてを遠慮なく公明党とバーターすることができるだろう。しかしそれで、「禊(みそぎ)は済んだ」と言えるのか。 ■「裏金問題」の解決見えないまま衆院選へ
こうして「裏金問題」の解決について確固たる方針を欠いたままに、石破・自民党は衆院選に突入しようとしている。 石破首相は著書『保守政治家』(講談社)で、「もし私などが首相になるようなことがあるなら、それは自民党や日本国が大きく行き詰った時なのではないか」と記すとともに、政治の師である故・田中角栄元首相の「首相は天命だ」との言葉を引用した。はたして石破首相の天命は、自民党や日本を救うことなのか。それともその最期を看取ることなのか――。
安積 明子 :ジャーナリスト