中国版「ネコノミクス」が加速。日本も参考にしたい新ペットサービスの数々
次々と誕生する新規ビジネス
そもそもペットの販売自体もビジネスだ。中国の猫販売は路上の猫売り屋から高級ペットショップまで様々で、金を惜しまず高価な猫を飼う人もいるがもちろん出費は抑えたい人もいる。そうした人のための新たなビジネスもできている。上海や杭州などの華東を中心に展開するペットチェーン「幺社領猫館」では、無料で猫の里親になれるがキャットフードや猫砂などはその店で買うというシステムを導入。電子決済サービスのアリペイを活用し、契約後2年間は同店で毎月猫用品を購入し続けるというもので、なんだかスマートフォンを通信費だけで入手するようなシステムだ。こうしたビジネスモデルのペットショップは続々とできているといい、消費者に新たな選択肢を与えている。 「猫は飼いたいというほどでもないが、猫を見守りたい」――そんなニーズがあるのか、「街猫」という野良猫の餌やりをサポートするサービス、シェアサイクルで知られるハローバイクから出ている。WEBカメラのついた自動給餌器が様々な場所に設置され、サービス利用者は猫がやってくるのをライブ動画を通してみることができ、投げ銭をすると餌が機械から金額分投下され猫を喜ばせられるというサービスだ。したがって投げ銭が同サービスの売上になる。 さらに、餌やりを行いその様子を皆でシェアするのだけが目的ではなく、そこに猫が集まることで野良猫を去勢し、個体数をコントロールするのを狙う動物団体や個人もいる。ただ現実ではあまりに対応スタッフが少なく、猫は集まっても去勢できないという問題や給餌器がかなり汚れるという問題が出てきている。 ところでペットの寿命は人間より短く、別れの時はいつかやってくる。人気ECサイトのタオバオで検索するだけでも、ペットの毛の培養や毛や歯を使ったアクセサリー製品化、遺骨保管製品などさまざまな関連製品やサービスが表示される。ペットを復活させるためにクローン技術を使った高額なサービスを利用する人々もいる。いくつかニュースがあるが20万元(約430万円)前後かかるケースが多い。AIを活用して亡き人の見た目と声を復活させる事例はあるが、ペットについてもAIによる復活サービスはそう遠くないうちにリリースされるというのがペット記事で見る今後の予想だ。 中国国内のペットブームは中国国外にも波及することだろう。既にペット用グッズやペット用スマート機器が中国だけでなく海外でも売られていてこの動きは加速するし、AI復活といったソフトウェアも海を越えよう。またペット同伴の海外旅行が普及していけば日本も目的地となり、日本での受け入れ場所がチャイナマネーを取り込むことになる。猫が自慢の島や集落で、投げ銭リモート餌やり器が出てきてもおかしくない。 (文:山谷剛史)