「わきがというにおいがあるわけではない」専門家が〝誤解〟指摘 どんな病気?遺伝の可能性、保険で手術も
病院でどう治療する?
では、病院ではわきがにどのような治療をするのでしょうか。桑原医師は大きく「手術する」「汗の量を減らす」という二つの方法があるとします。 手術は、医師が腋臭症と診断すれば、保険適用になります。同院では皮弁剪除法という、皮ふを切開し、アポクリン汗腺を切除する方法で行います。においの原因となる汗自体が出なくなるので、「一度の手術でにおいがほとんど気にならなくなる場合が多いです」と桑原医師。 「小さい創(傷口)から半盲目的にアポクリン腺を除去することもありますが、多くの経験から、肉眼的に確実にアポクリン腺を除去することができる皮弁法を選択することが勧められます。この場合、においの後戻りが少なくなります」 また、「汗の量自体が減ることで、わきのにおいを抑えることができるようになる」と桑原医師は説明します。 「汗の質に関わらず、脇が“蒸れている環境”が続くと細菌の繁殖が促されることが多いため、汗量でにおいが助長されていると考えられる患者さんに対しては、併せて多汗の治療を行うことがあります。 汗が多くなる原発性腋窩多汗症という疾患を合併している患者さんには、保険診療内での治療を、そうではない方でも、汗の量を減らすことで減臭が期待される方には、自費診療内で汗を抑える治療をお勧めすることもあります。 治療法はさまざまで、汗管の細胞に作用して汗の通り道を塞ぎ、発汗を抑制する塩化アルミニウム外用薬から、抗コリン内服薬、ボツリヌス毒素注射などがあり、いずれも効果・副作用を有するため、医師とよく相談の上、決定してください」 さらに、自分でできる対策としては「主に清潔を保つ、酸化を防ぐ、適切なスキンケアをする、ということになるでしょう」と桑原医師は話します。 「毎日の入浴やシャワーで皮膚表面の汚れや余分な皮脂をしっかり洗い流すことが重要です。ただしこのとき、こすりすぎて皮膚にダメージを与え、必要な皮脂膜が剥がれてしまったり、皮膚角質層が傷付いてしまったりして、皮膚の防御機構を壊してしまうこともあるため、注意してください。 デオドラントにはわきが専用の、体臭を抑える力が強いものもあります。また吸湿性の高い素材の衣服を着用し、定期的に洗濯して、においのもとを減少させることも有効です。 その他にも一般的なお話として、ストレスの管理や食事の見直しなどをお伝えすることがありますが、生活スタイルを大きく変えたくない方や、毎日の工夫が強迫観念につながりむしろストレスを感じてしまう方もいらっしゃいます。可能な範囲で行えること、継続できることを一緒に計画していきましょう」