4割もの日本の若者は「自分には長所なんかない」と思っている…!「生きていく資格なんかない」と嘆く若者に知ってほしい「自己肯定感の育て方」
いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行した。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。 『君はどう生きるか』連載第35回 『自信がない人へ贈る…「驚きの」アドバイス。「料理」と「演劇」を上達させる共通点とは』より続く
自分の立ち位置の把握
もっとも、自分で自分の歌を聴いたり、小説を読んで「全然素敵(面白い)と思えない」と思ったら「相対的な保証」ではないですね。 そういう時は、友だちに自分の歌(小説)と、自分が素敵(面白い)と思っている歌(小説)の二つを聴いて(読んで)もらって尋ねます。「この歌(小説)とこの歌(小説)、どっちが素敵(面白い)?どれぐらい違う?」 自分の料理の腕が分からなくて、地図のどこら辺にいるのか分からない時は、友だちに食べてもらいます。自分が作った料理と、それから、君が美味しいと思っているお店の料理のふたつです。 そして、その違いを友だちに聞きます。「わりと同じぐらい美味しい」と言ってもらえたら、自分の立っている場所が分かります。
「相対的な保証」を手に入れるために
自信がない人は、まだ「地図」ができてない人です。 地図ができれば、自分の立ち位置が分かるようになります。そうすると、周りが見え始めます。 やがて、君は、不安や自信のなさに苦しむのではなく、「相対的な保証」を手に入れるために何をすればいいか分かるようになります。 アスリートは、次も9秒台で走れるという「絶対的な保証」は手に入らなくても、「次も試合までは今回と同じ練習をしよう。競争する相手はどういう人たちか調べよう。今回、9秒台を出せた理由をもう一度研究して、ベストなコンディションにもっていけるようにしよう」という、「相対的な保証」が手に入るのです。 「生きていく自信がない」と言っている人は、生きていくことの「地図」がない人です。自分だけがバカでダメで、生きていく資格なんかないんだと思っていたりします。 世界にはどんな人がいて、どんなレベルで生きていて、どんな生き方をしているか詳しく知っていけば、やがて地図ができます。 その中で、自分はどこにいるのか、ぼんやりと分かってきます。 自分だけを見つめず、周りをよく見回すことで地図は出来上がるのです。