中村鴈治郎、亀屋忠兵衛役は「やればやるほど、どんどん好きに」
◆歌舞伎鑑賞教室「封印切」(21日まで、東京・荒川区民会館=サンパール荒川) 東京・半蔵門にあった国立劇場が建て替え閉場中で、今年から場所を変えての開催。通常の歌舞伎より価格がお手頃に観劇できるのも特徴のひとつだ。 近松門左衛門による同作の正式題は「恋飛脚大和往来 封印切」。「玩辞楼(がんじろう)十二曲の内」とも明記され、初代鴈治郎が自身の当たり役を集めた中のひとつ。今回は初代のひ孫にあたる4代目鴈治郎が、色男で優柔不断な主人公・亀屋忠兵衛を、遊女梅川を市川高麗蔵(こまぞう)が演じている。 鴈治郎は“家の芸”のこの役を、何度も演じる中で「やればやるほど、どんどん好きになってきた」という。そして2つの変化が。まず梅川との再会時の恋模様。「2人がじゃれ合って、いちゃいちゃするところ。結構長いのですが、いかに飽きさせずに見せられるか。演じるうちに、ここが一番大事で一番難しいと思うようになりました」 もうひとつが恋敵・丹波屋八右衛門(中村亀鶴)の侮辱を含んだ挑発に耐えかね、手をつけてはならない小判の封印が切れる見せ場について。「封の切り方も変化し、父(坂田藤十郎)もやってない、自分で決めたことがある」と明かす。貴重な初代の忠兵衛姿の写真を見ると、封が完全に切れていなかった。「どのやり方が正解なのか分からない。でも小判がバラバラバラときれいに落ちる感じを出すのには、半分、封を残している方がいいと分かり、いまはその動きでやってます」 冒頭の解説「歌舞伎のみかた」は澤村宗之助が担当。20日には外国人向けの「Discover KABUKI」も予定されている。(内野 小百美)
報知新聞社