硫黄島兵士たちの「食事の実態」~大根やほうれん草が「ごちそう」だった
【Q】遺骨収集団員たちの食事は?
なぜ日本兵1万人が消えたままなのか、硫黄島で何が起きていたのか。 民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が発売たちまち6刷と話題だ。 【写真】日本兵1万人が行方不明、「硫黄島の驚きの光景…」 普段ノンフィクションを読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。 ここでは、硫黄島に関する疑問・質問に答える。
【A】「これがまた、うまいんですよ!」
硫黄島には、自衛隊関連設備の補修などを担う建設作業員たちが多く滞在しています。遺骨収集団員たちの朝昼晩ご飯は、建設作業員用の食堂で、彼らと同じメニューを食べます。 朝食時間が5時40分と早いのは、作業員たちの食事時間と重ならないようにしているからかもしれません。定められた朝食時間は40分間。昼と晩の食事は20分間。会話をすることなく黙々と食べる収集団員が多かったです。 ちなみに食事の味の感想を問われれば、私は「これがまた、うまいんですよ!」と答えます。炎天下の作業で汗をさんざんかいていますから、メリハリの利いた濃いめの味付けが非常においしく感じられました。体力勝負の在島建設作業員のエネルギー補給に配慮してか、ボリュームも十分でした。 本土から1000キロ以上離れた硫黄島。食材の物流も限定的ですので、食事メニューは、サラダや漬け物以外の「ナマモノ」はほとんどなかった印象です。揚げ物が中心でした。私は本土帰還までに2キロ太りました。
「生卵がなんとおいしいことよ!」
在島自衛隊の食習慣の影響なのか、毎週金曜はカレーでした。このカレーには、生卵が付きます。ルーに混ぜて食べるためです。私は2度の渡島中、たまたまカレーの食事に巡り会ったことはありません(少食の体質のため食事に行かないことがしばしばあったためです)。 カレーの食事に行った団員の一人は、こんな話をしていました。「カレーの美味しさもさることながら、生卵がなんと美味しいことよ!」――。そんな感想の声が上がるほど団員の中には「ナマモノ」に飢えていた人がいたわけです。私も刺身などに飢えていた一人でしたが。