「大手施工」でも例外ではない…なんと「新築一戸建て」の半数以上に「不具合」が指摘されているという「衝撃的な事実」
さくら事務所が2023年に行った一戸建ての新築工事中のホームインスペクション(第三者検査)の集計・分析結果では、配筋・型枠・構造・防水・断熱など住宅の主要な部分の半数以上に不具合が見つかりました。大手ハウスメーカー施工であっても、不具合の指摘率は決して低くありません。とくに、配筋・型枠・構造部分は住まいの耐震性にも影響する重要な部分です。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」が見た「地獄」
そもそも新築工事中の「不具合」ってどんなもの?
新築工事中の不具合にはさまざまなものがありますが、分かりやすいものだと釘の打ち忘れやネジの締め忘れ、補強金物を取り付ける場所の誤りなどが挙げられます。構造部分の不具合は指摘率が最も高く、全体の77.8%のお住まいで確認されました。私たちインスペクターからすれば、構造部になんらかの不具合が見られることは決して珍しくありません。 しかし、構造部の不具合は家の耐震性にも大きく影響します。家を建てる方からすれば、なんとしてでも避けたい不具合といえるでしょう。 耐震性能に関わってくるということであれば、基礎工事にあたる配筋や型枠の不具合も見逃せません。基礎配筋系の不具合というと、たとえば鉄筋の継ぎ手長さやかぶり厚さの不足、配筋下の防湿シートめくれなどが挙げられます。こうした不具合があることで、建物の強度や耐久性が下がるおそれがあります。また、防湿シートのめくれがあると地中の湿気があがってくるため、結露やそれによるカビの発生、シロアリ被害などにつながり、長期的に建物をむしばんでいく要因にもなりかねません。
不具合のせいで耐震基準不適合になってしまうおそれも……
配筋や型枠、構造の不具合は、耐震性能の低下に直結します。わかりやすく言えば、設計上は耐震基準を満たしていたとしても、現場のミスなどが要因で、実態としては耐震基準不適合となってしまうおそれもあるのです。 2016年に発生した熊本地震でとくに建築物の被害が著しかった地域では、現行の耐震基準で建築された木造家屋が7棟倒壊しています。現行の木造住宅耐震基準は「2000年基準」と呼ばれるものです。2000年基準は、震度6~7程度でも倒壊しないことが基準となっています。 倒壊した7棟について調査が行われたところ、倒壊理由は3棟が「震源や地盤の特性に起因して局所的に大きな地震動が建築物に作用した可能性があるもの」、1棟が「著しい地盤変状の影響」、そして残りの3棟が「現行規定の仕様となっていない接合部」によるものと見られると分析されています。 あくまで分析結果ではありますが、仮に「現行規定の仕様となっていない接合部」が原因となって倒壊してしまったとすれば、弊社によるホームインスペクションで度々確認される不具合がいかに危険をはらんでいるものかご理解いただけると思います。 国土交通省はこうした事例を受け「接合部の仕様が不十分であったものに倒壊が多く見られたことから、こうしたものの被害の抑制に向けた取り組みが必要」との見解を示しています。