「お金にとってのリスクとは何か」元ファンドマネジャー父が娘に教える「およそ負けないで済むリスク回避」とは
資産運用の世界では「上がっても下がっても」どっちもリスクです
さて、僕はお金の運用が専門なので、この本に絡めてお金のリスクの話をするね。資産運用の世界では、リスクとは価格変動のことです。そして、それは値段が下がることだけを意味しません。 一般に値段が下がることだけをリスクと考えるのは人間が「損」を嫌うからで、銀行の預金とそれ以外とか、運用するかしないかという単純な二元論に基づいています。 しかし実際には、2人がこれから加入する国民年金や保険は、2人の代わりに国や会社が資産運用し、日本株や債券、外国株や外国債に投資しています。運用の失敗は税金の投入や予定利率の低下で間接的な負担になります。また、マンションを購入するのも投資に近い性質のものです。 つまり、2人はすでに、知らないうちに、資産運用をしているわけです。最近話題になった老後2000万円問題というのは、お金に注意を払っている人たちから見れば当たり前の話を国がついに認めた、っていう現象に過ぎません。皆さん長生きできるようになりましたね、だけど年金だけでは老後生活できません、自分でも運用してください、新NISAも作りますので、というのが日本人の資産運用の現状です。 ここまでの前編記事ではお金をとりまく現状とリスクの関連を語ってもらいました。つづく【後編】では個人のお金のリスクをどう捉えるべきかについて語ります。
投資家・文筆家 澤田信之