円が対ドルで153円台、米金利高や200日線突破で下げ加速
(ブルームバーグ): 23日の外国為替市場の円相場は対ドルで1%余り下落し、一時153円台を付けた。米国の長期金利が約3カ月ぶりの水準に上昇しており、日米金利差を意識したドル買い・円売りが進んでいる。
円は対ドルで一時前日比1.4%安の153円19銭に下落し、7月31日以来の安値を更新した。市場関係者が注目する200日移動平均線を約3カ月ぶりに下回ったことも、円売りを加速させた。
米長期金利は底堅い景気や利下げ観測の後退を背景に、7月下旬以来の高水準となる4.2%台で推移。11月初めの大統領選が近づき、拡張的な財政政策や関税強化を主張するトランプ前大統領が優勢との見方から、インフレや財政リスクを警戒した金利上昇圧力も加わっている。
ノムラ・インターナショナルの宮入祐輔氏(ロンドン在勤)ら通貨ストラテジストは、週末の総選挙を受けて円の下げが加速する場合、日本銀行は12月にも金利を引き上げる可能性があると示唆せざるを得なくなるかもしれないと指摘。与党の過半数割れリスクから円は既に売られているが、今月31日の日銀の金融政策決定会合を前に円売り圧力は一段と強まる恐れがあると、ストラテジストらはみている。
選挙後に円が急落すれば、「インフレ上振れリスクの強まりを反映し、日銀はよりタカ派に傾く可能性がある」と宮入氏らはリポートに記し、1ドル=157円50銭前後を「注目すべき水準」に挙げた。
--取材協力:船曳三郎、鈴木克依.
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Hidenori Yamanaka, Daisuke Sakai, Naomi Tajitsu