三菱UFJ銀頭取「銀行ビジネス根幹揺るがす」、貸金庫盗難で陳謝
(ブルームバーグ): 三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は16日、都内で記者会見を開き、支店の業務責任者だった元行員が貸金庫から顧客の資産を盗んだ不祥事について陳謝した。貸金庫の鍵の管理を厳格化するなどの再発防止策も発表した。
半沢氏は「信頼、信用の上に成り立っている銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであり、深く反省するとともに厳粛に受け止めている」と述べた。顧客への対応と不安払しょくを最優先とし、再発防止策に向けた改善対応策を徹底することで、信頼回復に取り組むと語った。
経営責任については「真因分析をさらにしっかり進め、再発防止策を策定し、実行に移すことが現在の最大の責任だと認識している」とした上で、自身も含めた処分については「この後、調査分析を進め、真因、責任を明確にする中で具体的に検討していきたい」と述べた。
金融機関のリテール分野を巡る不祥事では、野村証券の元社員が顧客に対する強盗殺人未遂などの罪で起訴され、今月3日に社長らが謝罪会見を開いたばかり。証券に続き銀行最大手でも顧客の信頼を揺るがす事態が起きたことで、利用者からの金融機関に対する信用失墜は避けられそうにない。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の同行は11月22日、元行員が東京都内の2支店で貸金庫から顧客の資産を着服していたと発表。被害総額は時価で十数億円に上る。同事案について12月16日付で金融庁から報告徴求命令を受けたとも発表した。
同行の調査によると、貸金庫の統括責任者に就いていた40代の女性元行員は練馬(旧江古田含む)、玉川の2支店で、2020年4月から24年10月の約4年半にわたり、貸金庫契約者約60人の資産を盗んだ。投資を含めて私的に流用していたという。銀行保管の予備鍵を不正使用し貸金庫から窃取した。また、数十人の顧客から被害可能性の申し出があり、現在調査を進めている。両支店以外での被害は確認されていない。