リップル吉川氏、退任「次の挑戦に向けてじっくり検討」
米リップル(Ripple)社戦略イニシアチブ担当バイスプレジデントの吉川絵美氏が同社を去る。同氏が19日朝、Xに投稿した。 SEC(米証券取引委員会)との長年の裁判が事実上、同社の勝利で終結、また、米大統領選で暗号資産にポジティブなトランプ氏が勝利し、リップルはもちろん、暗号資産全体に強い追い風が吹き始めていただけに、このタイミングでの退職は意外だ。 【お知らせ】2016年末から8年間勤務した@Ripple 社をこの度退職することになりました。クリプト業界の黎明期に参画し、駆け抜けたこの8年間。数々のチャレンジや困難に直面しながらも、前進し続けた8年間でした。この時期、この場所で働けたことはとてつもなくラッキーだったと感じています。… https://t.co/lABulen4yx ― Emi Yoshikawa {X} (@emy_wng) November 18, 2024 9月初めに東京で開催された「XRP Community Day」には、CEOのブラッド・ガーリングハウス氏、CTOのデビッド・シュワルツ氏、プレジデントのモニカ・ロング氏らとともに出席。日本のリップル/XRPコミュニティのメンバーと積極的に交流していた。また、その前後にリップルは、ステーブルコインの発行やEVM互換サイドチェーンの構築を発表するなど積極的な動きを見せていた。 エックス・アール・ピー(XRP)も、16日には1ドルを超え、3年ぶりの高値を更新した。 退職に際して吉川氏は「この8年間、リップルのサンフランシスコ本社でクリプト業界の勃興と急成長を直に体験し、その一端を担うことができたのは大変貴重な経験でした。この間、業界は規制、インフラ、市場環境の各面で大きく前進し、今後、社会実装が本格化していくことは間違いないと確信しています。私自身も引き続き、さまざまな角度からこの業界の発展に貢献していきたいと考えています」とCoinDesk JAPANの取材に答えた。 このタイミングでリップルを去る理由については「8年間で色々とやり切ったという思いと、今後世界が大きく変わっていく中で今一度新たなチャレンジをしたくなったことが大きいかなと思ってます」と述べた。 今後の予定は、まだ具体的には決まっていないようだ。 「今後については、まずは充電期間を取りながら、次の挑戦に向けてじっくり検討していく予定です。その間も、引き続き米国を拠点にしつつ、京都大学大学院での講義やブロックチェーン研究センターでの活動、Web3スタートアップや企業へのアドバイザー業務、また非営利組織の理事としての役割などを継続していきます」 日本のWeb3/暗号資産を取り巻く状況はこの先、大きな変化が予想される。年末には来年度の税制改正の大綱が発表される。分離課税が実現するのかどうか。ステーブルコインは2024年には間に合わなかったが、2025年の登場は間違いないだろう。ビットコインETFの実現可能性も何らかの形で明らかになるだろう。4月に始まる万博ではウォレットの普及が期待されている。 吉川氏も次のように結んでいる。 「グローバルな舞台で挑戦を続けながら、並行して日本にも貢献していくという自身の方向性やスタイルはこれからも変わりません。これまで培ってきたスキル、知見、そしてネットワークを基盤に、大きなインパクトを生み出す新たな挑戦に取り組んでいきたいと考えています」 |文:増田隆幸|画像:Shutterstock
CoinDesk Japan 編集部