青学大の原晋監督 関東学連一般社団法人化で駅伝対策委員長に就任「多くの人の意見を聞いて物事を進めていきます」
箱根駅伝などを主催する関東学生陸上競技連盟(関東学連)は2日、「任意団体」から「一般社団法人」に組織変更したことを発表した。16年から8年間、会長を務めていた有吉正博氏(76)が退任し、1984年ロス五輪男子三段跳び代表の植田恭史氏(68)が代表理事会長に就任。駅伝対策委員長には第100回箱根駅伝(1月2、3日)で2年ぶり7度目の優勝を果たした青学大の原晋監督(57)が就任した。 関東学連は1919年に創立された。当時、日本陸連も日本学生陸上競技連合も組織されていなかったことから日本陸上界で最古の連盟組織とされている。歴史ある関東学連が一般社団法人化という改革を行い、その中で「目玉人事」とされるのが青学大の原監督の駅伝対策委員長就任だ。2014年度から10年間、駅伝対策委員長を務めていた山梨学院大元監督の上田誠仁氏(65)から“タスキ”を受け、駅伝に関わる施策を推進していくことになった。 新たな駅伝対策委員会は東海大の両角速監督(57)が副委員長を務め、城西大の櫛部静二監督(52)、東洋大の酒井俊幸監督(47)、法大の坪田智夫監督(46)、国学院大の前田康弘監督(46)、順大の長門俊介監督(39)らが名を連ねた。 これまで原監督は「箱根駅伝の全国化」など多くの改革案を主張していたが「駅伝対策委員長に就任した以上、多くの人の意見を聞いて物事を進めていきます」と慎重に話している。また「箱根駅伝をはじめとする駅伝やロードレースにおける選手強化の施策を進めます。大会運営に関しても、これまで読売新聞社様との共催事業として取り組んできましたが、法人格を持った組織となり、より主体性を持って、大会運営に関するさまざまな課題や問題点について、ひとつひとつ整理し、できる問題点から改革に取り組みたいと思います」とコメントした。 指導者として青学大を大学駅伝屈指の強豪に育て上げた原監督は、今後、大学駅伝界全体のリーダーとして手腕が問われる。 ◆原 晋(はら・すすむ)1967年3月8日、広島・三原市生まれ。57歳。世羅高3年時に全国高校駅伝4区2位。中京大3年時に日本学生5000メートル3位。89年に中国電力陸上部に1期生で入社。27歳で引退後、同社で「カリスマ営業マン」と呼ばれた。2004年、青学大監督に就任。箱根駅伝では09年に33年ぶりの本戦復帰を果たし、15年に初優勝。最近10年で箱根7勝と強豪校に押し上げた。 ◆植田 恭史(うえた・やすし)1955年11月13日、静岡・現御前崎市生まれ。68歳。74年に池新田高から東海大に入学。78年に卒業。84年ロス五輪男子三段跳びに出場し、12位。現役引退後、東海大の教授、関東学生陸上競技連盟の副会長などを歴任した。 トークバトル監督兼司会も 〇…箱根駅伝の16人登録選手が発表される12月10日には監督トークバトルが行われ、前年度の上位5校の監督が出席する。駅伝対策委員長と日本テレビのアナウンサーが司会を務めることが恒例となっている。今年12月の監督トークバトルは、原委員長が前年覇者の監督の立場に加え、自ら司会を務めることになりそうで、箱根駅伝前のイベントがより注目される。 ◆一般社団法人と任意団体 一般社団法人は団体に法人格を持たせたもの。個人のように権利や義務の主体となることや、取引の主体になることができる。法人名義の財産を所有したり、登記を行うことも可能。任意団体とは、法人格のない団体のこと。活動していても実際に契約などを行う場合には、権利の主体となれず構成員名義で契約を交わす。また団体名義で財産を所有できず、構成員名義で所有する。
報知新聞社