「在来種の回復が力に」 マングースバスターズ 奄美での根絶までの歩み語る
世界自然遺産に登録されている鹿児島県奄美大島で特定外来生物マングースの根絶が宣言されたことを受け、防除の中心的役割を担った奄美マングースバスターズ(AMB)のお話し会が23日、大和村思勝の環境省奄美野生生物保護センターであった。AMBメンバーの後藤義仁さん(49)がこれまでの苦労を振り返り、「マングース対策が進むにつれて在来種が目に見えて増えていくことが活動の励みになった。これからも奄美の森を見守り続けたい」と語った。 環境省などによると、マングースは1979年ごろに沖縄から持ち込まれて定着。在来生物を捕食し、島の生態系に深刻な被害を及ぼした。地元自治体による捕獲は1993年に始まり、同省も2000年から本格的な駆除事業を展開。18年4月を最後に捕獲数0が続いており、今年9月3日に根絶が宣言された。捕獲総数は約3万2千匹。 後藤さんは愛知県出身で奄美大島に移住して18年目。環境省の委託事業で05年に発足した専門の捕獲チーム・奄美マングースバスターズの一員として、07年からマングース防除や在来種モニタリング調査、教育・広報活動などに携わっている。 お話し会では、AMBが効率的なマングース捕獲と在来種の混獲防止のためにわなの改良を重ねたことや、海外先進地から探索犬を導入したこと、日々の活動で猛毒を持つハブやハチ、悪路や熱中症に悩まされたことなどを紹介。後藤さんは「海外の事例に学びながらチームで問題解決に当たったことが根絶成功の鍵になった。再侵入の恐れや他の外来種などの課題も残るが、奄美の森を元の姿に戻すために活動を続けたい」と語った。 奄美野生生物保護センターでは12月15日まで、AMBの活動を年表と写真で振り返る企画展を開いている。講話の後は後藤さんによる展示物の解説などもあった。両親と共に参加した名瀬小学校の児童は「自分たちでわなを改良して自分の足で山を歩いてきたバスターズはすごいなあと思った。人間の勝手で連れてこられて駆除されたマングースはかわいそう。ペットや外来種を外に逃がしたら駄目だと改めて感じた」と話した。 同センターの開館時間は午前9時半~午後4時半。月曜休館(祝日の場合は翌火曜休館)。入場無料。