【大学野球】「努力はウソをつかない」――この言葉を信じて体現してきた立大右腕・沖政宗の野球人生
「4年生が後輩たちに何かを残していきたい」
立大は昨秋、明大との3カード目を迎える直前、一部の野球部員による複数の問題行為が一部報道で発覚した。大学側は調査委員会の設置を発表した上で前部長、前監督の活動自粛。次期監督に内定していた木村コーチが監督代行として指揮した。明大戦では責任を感じた4年生が、神宮球場での活動を自粛。次の早大戦以降は、一部を除いた4年生が復帰も、勝ち点1の5位でシーズンを終えている。 調査委員会の報告を受けて昨年12月22日に「今後の対応」が示され、大学におけるマネジメント問題への対応整備、再発防止策が行われた。活動再開は年が明けた1月21日。木村新監督以下、学生たちは今後の野球部の方針についてミーティングを重ねた。チームスローガンを「結束」とし学校生活、寮生活の安定、そして地域清掃など、野球以前の活動に力を入れた。大学生としての取り組みを抜本的に見直し、春のシーズンを戦ってきたのだ。秋に向けて具体的にもう一度、何を見直していくのか。生活改善委員・沖は語った。 「当たり前のことを、当たり前にすると、精神的に安定するんです。何かをしよう!! ということではなく、当たり前にできることから、着手していきたいと思います。自分たち4年生が後輩たちに何かを残していきたい」 リーグ戦成績は昨秋と同様、勝ち点1の5位だが、神宮に臨むまでの過程と、その内容が劇的に変わった。秋への光明が差した春は、多くの学びがあった。野球部員である前に、立教大学の学生として、自覚ある行動を取る。改革には「痛み」が伴う。最上級生の尽力で、3年生以下も理解を示した。形として、神宮で成果を生み出した。立大野球部には2024年、新たな伝統が築かれようとしている。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール