【大学野球】「努力はウソをつかない」――この言葉を信じて体現してきた立大右腕・沖政宗の野球人生
「生活改善委員」の役職
【5月26日】東京六大学(神宮) 立大5-0東大(立大2勝) 立大の4年生右腕・沖政宗(4年・磐城高)には、岡本豪(4年・報徳学園高)とともに、チーム内で「生活改善委員」の役職がある。 新チーム結成時、主将・田中祥都(4年・仙台育英高)から同ポストを任された。言うまでもなく、信頼の証しである。 努力はウソをつかない。沖はこの言葉を信じ、体現してきた野球人生である。 文武両道の鑑だ。小学校時代から東京六大学、神宮でのプレーにあこがれ「勉強と野球を頑張る。小、中、高と歩んできました」と語る優等生だった。福島県屈指の進学校・磐城高では、3年春のセンバツ21世紀枠での出場を決めていたが、コロナ禍で無念の中止。 センバツ出場32校が招待された8月の甲子園交流試合でマウンドを踏み「1試合でも感謝の気持ちです。あのゲームがあるから、今がある」と語る。一方でこんな思いも……。 「磐城高校は部活動が盛んなんです。インターハイらが中止となっている中で、野球部だけ甲子園での1試合が実現しました。優遇されている、心苦しさがあったのは事実。自分たちは一生懸命やるしかありませんでした」 周囲に気配り、心配りができる人間である。指定校推薦で立大に進学。3年秋までに33試合に登板した。下級生時代から先発、救援とさまざまな立場で、チームに貢献。今春も15試合中9試合に登板。誰もが認め、頼りにしたくなる右腕である。今季最終カードは東大戦。勝ち点0同士の直接対決だった。 沖は先勝で迎えた東大2回戦で先発起用され、5回無失点で勝利投手となった。連勝で今季初の勝ち点1を挙げ、5位でシーズンを終えた。6勝8敗1分。立大は東大以外の4校から1勝を挙げるも、惜しくも勝ち点(2勝先勝)には届かなった。今春から母校を指揮する木村泰雄監督は「やれる、という自信はついた」と手応えを口に。沖はこう言った。 「新チームから『生活から始めよう!!』と言ってきまして、どのチームからも1勝を挙げ、昨年よりは変わったかな、と。主将・田中とも話し合い、もう一度、寮生活から見直して、夏の練習を積んでいきたいです」