「固定資産税」評価のスピードアップなるか 都が方式見直し目指す
固定資産税の納税通知書が、東京23区では6月3日から順次発送されています。都心回帰現象や東京五輪による再開発特需なども相まって、近年の東京都心部では高層ビルの建設計画が相次いでいます。都市開発が進むことで、東京の活性化、ひいては日本国内の経済再生につながると期待する向きもあります。その一方で、悩ましい課題も発生しています。それが、旧態依然とした固定資産税の評価方式です。都はこの評価のやり方を見直す方向で検討を進めています。
膨大な時間を要する家屋の固定資産評価
固定資産税は所得税や法人税のような納税者が申告する「申告納税方式」ではなく、市町村(東京23区の場合は東京都)が税額を決定し、納税者に通知する「賦課課税(ふかかぜい)方式」を採用しています。 賦課課税方式のため、固定資産税は課税庁が税額を算出する必要があり、そのための膨大な作業が発生するのです。 固定資産税の課税対象を大別すると、宅地や山林といった「土地」、住居や店舗、工場といった「家屋」、ブルドーザーやボート、工場の製造ラインで使っている作業用機械などの「事業用償却資産」(自動車税・軽自動車税の対象は除く)の3つになります。 「土地」は田や畑、宅地、山林など9種類の地目に区分され、そこから固定資産税路線価を設定。その路線価に面積をかけたものが土地の評価額として算出されています。「土地」だけでも、かなり複雑な仕組みと言わざるを得ませんが、家屋はさらに複雑な仕組みになっています。 「家屋の評価は構造をチェックし、資材の点数、その材質に至るまで確認してから決定しています。そのため、図面の段階から資産評価のチェックが入り、それらを確認するために現地にも頻繁に足を運びます。機械化が進んだこともあって、計算そのものの負担は軽減される傾向にあります。しかし、それ以上に建物が“個性化”しているので、以前よりも評価は煩雑化・複雑化し、時間や作業量は増大しています」と話すのは、東京都主税局資産税部固定資産評価課の担当者です。 どこの市町村でも家屋などの資産評価は悩みの種ですが、特に東京都が悩ましい点は床面積が10万平方メートルを超える大規模建築物が増加していることです。大規模建築物は複雑な構造で資材点数も多く、図面だけでは判断できないケースも多々あります。そのため、実際に何度も現場に行って確認する必要があるのです。