レバノン、新大統領に米支援の軍司令官選出 長年の政治的膠着に終止符
ベイルート(CNN) 中東レバノンの議会は、米国が支援する軍司令官を同国の新しい大統領に選出した。長年続いた政治的膠着(こうちゃく)と大統領不在に終止符が打たれた。 【写真】レバノン国会議長と握手を交わすアウン氏 軍司令官のジョセフ・アウン氏は2回の投票を経て大統領に選出。サウジアラビアと米国は同氏への支持を集めるべく尽力していた。 大統領就任宣言後、アウン氏は事実上、軍司令官を退任した。 アウン氏は受諾演説で、レバノンの「新時代」の到来を歓迎し、同国を無数の経済的・政治的危機から解放することを誓った。また、国家の権限で「武器を独占する」という異例の約束を宣言。これがイランから支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラの兵器保有を指していることは明らかだ。 ヒズボラは中東で最も有力な武装組織であり、昨秋のイスラエルとの大規模な戦闘まで、少なくとも3カ国で影響力を及ぼしていた。 イスラエルによる甚大な打撃と、支援国であるシリアのアサド前大統領が昨年12月に失脚したことにより、ヒズボラは劇的に弱体化。レバノン国内で同組織の武装解除に関する長年の議論が再燃した。 アウン氏は演説でレバノンにおけるイスラエルの占領を排除すると宣言。イスラエルは公式に敵国とされている。また、同氏はヒズボラの力を借りることなくレバノンがイスラエルに対して「防衛戦略」を講じる可能性を示唆した。ヒズボラは長い間、イスラエルと戦う事実上の軍事力とみなされてきた。 レバノンでは、ミシェル・アウン前大統領の任期が2022年10月に終了して以来、大統領不在の状態が続いてきた。前大統領とジョセフ・アウン氏との間に血縁関係はない。前大統領はヒズボラの支援を受けていた。後継者をめぐる交渉は失敗に終わり、親欧米派と親イラン派の間の緊張が再燃。過去2年間で大統領の選出は12回にわたり失敗に終わっていた。