黒部峡谷鉄道(富山)、猫又駅に新ホーム 5日から乗降可能、臨時終点で自然満喫
黒部峡谷鉄道(富山県黒部市黒部峡谷口、鈴木俊茂社長)は、能登半島地震の影響でトロッコ電車の折り返し地点となっている猫又駅に、新たにホームを設けた。通常は一般客が降りられない駅だが、運行区間が短い中でも乗客に楽しんでもらおうと、乗降できるように特別に整備。峡谷の自然美を眺めることができるのが特徴で、5日から乗客に利用してもらう。 黒部峡谷鉄道は元日の地震で鐘釣(かねつり)橋に落石被害があり、今シーズンは11月までの期間内に、終点の欅平(けやきだいら)駅まで全線開通することを断念。宇奈月駅から、鐘釣橋手前の猫又駅までの区間を運行している。 猫又駅は発電所などの工事関係者用の駅で、既存のホームは延長65メートル。一般客が乗るトロッコ電車は約90メートルのため、同鉄道は乗客が乗降できるよう、新たに長さ100メートルのホームを整備した。 5日からは乗客がホームに降りて、周辺の柵で囲まれた範囲内で休憩したり、写真を撮ったりできる。ベンチやテント、トイレもある。同駅での降車は鐘釣橋が復旧し全線開通するまでの期間限定で、停車時間は約20分。
ホームの周りには展望台とフォトスポットも設けられた。県がインバウンド(訪日客)の誘致事業として整備したもので、展望台は3・6メートルの高さから、紅葉や黒部川の眺めを堪能できる。猫又駅は「猫」の字が入る日本で唯一の駅とされることから、フォトスポットはネコやネズミのパネルを取り付け、ネコ好きにアピールする。 3日は報道陣に新たなホームや展望台などが公開された。同鉄道営業部の谷本悟チーフマネジャーは「普段降りられない駅で峡谷の自然を楽しむという、貴重な体験をしてもらえる」と話した。