珠洲で下水管94%被害 被災自治体で突出
●マンホール浮上、液状化原因 ●上水道月内復旧しても当面トイレ使えず 能登半島地震で、珠洲市の下水管被害(1月末時点)が総延長の約94%となり、被災自治体の中で突出していることが18日、市への取材で分かった。104・3キロのうち97・9キロが被害を受けたとみられ、下水管とつながるマンホールが道路から突き出た光景があちこちで見られる。市は飲料水確保へ上水道の復旧を急ぐが、生活排水を流す下水の復旧にはさらに時間がかかる見通しだ。 マンホールが路上に突き出る現象は、液状化が原因とされる。水分を多く含んだ地盤が激しい揺れで流動化することでマンホールが浮き上がったとみられ、この際、マンホールと地下数メートルでつながる下水管も引っ張られて破損した。 市は1月末までに、市内全てのマンホールを目視で点検する1次調査を終えた。その結果、ほとんどが浮き上がったり、砂や泥が詰まったりしており、下水管が使えない状況だった。 2月からはマンホールにカメラを入れ、下水管の破損状況を細かく確認する2次調査を実施。下水管内の砂や泥を除去し、流下機能を取り戻す応急復旧も進めているが、9日時点で機能を回復した下水管は約8キロ(国交省調べ)にとどまる。 市内では上水道の断水も続く。市は市中心部で2月中の復旧を目指すが、上水道が復活しても、下水は当面使えない。18日、避難先の津幡町から自宅の片付けに訪れた幕地良治さん(77)=同市宝立(ほうりゅう)町鵜飼=は「いつかは珠洲に戻りたいが、トイレが使えるまでは、なかなか帰る気になれない」とため息をついた。 ●穴水76%、輪島56% マンホールの目視調査は他の自治体でも実施された。石川県によると、1次調査で被害が確認された下水道の比率は、穴水町が76・15%(総延長39キロ中29・7キロ)と珠洲に次いで高く、輪島市は56・29%(同171・6キロ中96・6キロ)だった。 穴水町では複数の河川が穴水湾に流れ込む中心部で被害が目立ち、町担当者は「地盤が弱く、被害が拡大したのではないか」と話した。 一方、輪島市は被害の比率が珠洲、穴水を下回ったものの、損傷した下水管の総延長は珠洲とほぼ同じで、修繕には時間がかかる見通し。輪島市は2月中に輪島、門前、町野各地区の中心部で上水道を復旧させる方針で、担当者は「3月末には下水管の復旧にこぎ着けたい」と語った。穴水町、能登町の下水道の全面復旧時期は未定という。 ★能登半島地震による下水管の被害状況 管路延長(㌔) 被害なし・流下機能確保(%) 1月末時点→2月9日時点 珠洲市 104 6%→ 8% 輪島市 171 44%→44% 穴水町 39 24%→35% 能登町 78 58%→63% 七尾市 231 64%→77%