台湾産養殖「竜虎ハタ」、日本への輸出が可能に 8年間の努力実る
(台北中央社)日本の厚生労働省は30日、これまで輸入を認めていなかった台湾産の養殖「竜虎ハタ」について、条件付きで輸入を認めると発表した。農業部(農業省)漁業署は8年間の努力が実り、台湾で養殖されているハタの主要3種全てが日本に輸出できるようになったとしている。 竜虎ハタはアカマダラハタとタマカイの交配種。親系統に当たるアカマダラハタが、シガテラと呼ばれる食中毒を引き起こす魚だとして日本への輸入が禁止されているため、竜虎ハタの輸入も認められていなかった。シガテラは海中の藻類が作り出す毒素「シガトキシン」が原因で、食物連鎖により魚が毒化する。 厚労省は研究の結果、養殖用水や餌の管理を適切に行った場合の毒化リスクが低いことが示されたと説明。適切な管理が行われた養殖施設から輸出される竜虎ハタやその加工品には証明書類が添付されることとなり、この添付があるものについて輸入を認めるとした。 漁業署は、2017年から大学による実験や日本の検査キットを使用した検査を実施し、稚魚や成魚、店舗での販売商品など全ての段階で魚にシガトキシンが含まれていないことを確認。検査結果を日本に伝えるなど交渉を行い、23年には日本の担当者による現地調査にまでこぎ着けた。その後も有効なトレーサビリティー(生産流通履歴)や3シーズンにわたる養殖環境の検査資料を日本に提供するなどし、輸入許可に至った。 同署によれば、台湾で養殖されているハタは主に竜虎ハタ、タマカイ、アオハタの3種で、このうち竜虎ハタが7割を占めている。ハタは台湾で高い経済価値を持つ主要な養殖魚の一つで、年間の生産量は1.8万トン、産出額は44億台湾元(約210億円)余りに達するという。 ハタの国内外での流通拡大に向け、政府はこれまでも低温物流体制の確立やさまざまな加工品の開発を支援してきた。今後、竜虎ハタを日本や米国、マレーシア、シンガポールなどのスーパーや飲食業に進出させていくとしている。 (楊淑閔/編集:田中宏樹)