小芝風花×大島優子はなぜ“最強”の組み合わせなのか 『GO HOME』バディの掛け合いは必見
いつの時代も私たちの心を掴んでやまない“バディもの”。『あぶない刑事』(日本テレビ系)、『相棒』(テレビ朝日系)、『チーム・バチスタ』シリーズ(フジテレビ系)、『MIU404』(TBS系)など、その多くは男性バディだ。『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)や『ハコヅメ~たたかう!交番女子』(日本テレビ系)など、女性バディが活躍する作品も存在しないわけではないが、男性バディに比べると数はかなり少ない。そんな希少価値の高い女性バディドラマが、7月13日よりスタートとなる。小芝風花主演の『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)だ。 【写真】拳を交わす小芝風花×大島優子 本作は警視庁に実在する部署「身元不明相談室」をモデルに、捜査官の三田桜(小芝風花)が、性格も趣味もまるで正反対な10歳年上の同期・月本真(大島優子)といがみ合いながら、身元不明遺体の死の真相を明らかにし、家族や恋人の元に帰すべく奔走するミステリー×ヒューマンドラマ。放送前から視聴者の期待値を高めるのが、『半沢直樹』(TBS系)や連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)を手がけた八津弘幸が脚本を担当していることはもちろん、小芝風花×大島優子という最強の組み合わせである。 小芝は今最も忙しい俳優と言っても過言ではない。昨年から今年にかけて、『波よ聞いてくれ』(2023年4月期/テレビ朝日系)、『転職の魔王様』(2023年7月期/フジテレビ系)、『フェルマーの料理』(2023年10月期/TBS系)、『大奥』(2024年1月期/フジテレビ系)と、4クール連続ドラマ出演という偉業を達成。2023年12月から翌年2月までNHK BSで放送された時代劇『あきない世傳 金と銀』と、2月公開の映画『レディ加賀』でも主演を務め、来年は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合)でも主要キャストの1人を担う。まだ若いとはいえ、その胆力には驚かされるばかりだ。 これほどまでに小芝が多くの現場から求められる理由は、その“振り回され力”にあるように思う。振り回される対象が人であれ、状況であれ、小芝は感受性豊かな芝居で受け止めてくれる。そんな小芝の真価が最も発揮されるのが、“バディもの”だ。 『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)では、美食家で変人の私立探偵・明智五郎(中村倫也)の助手として振り回されるヒロインの苺役でキュートなコメディエンヌぶりを披露し、観る人を楽しませてくれた。『霊媒探偵・城塚翡翠』/『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系)では、霊媒師・城塚翡翠(清原果耶)を公私ともに支えるアシスタント・千和崎真を好演。翡翠にとって真はお姉さんのような存在でもあり、それまでは天真爛漫なイメージが強かった小芝が清原との掛け合いの中で見せる落ち着いた雰囲気が新鮮に映った人も多いのではないか。また『天使の耳~交通警察の夜』(NHK総合)では、親子ほど年の離れた巡査部長・金沢行彦(安田顕)とバディを組み、交通事故の捜査に臨む新人交通警察官の陣内瞬を演じた小芝。ベテラン俳優・安田顕のどしんと構えた演技と小芝が見せる全力の芝居がバランスよく融合し、物語に緩急を持たせていた。 そんな風にバディを組む相手によって、小芝は全く違った顔を見せてくれる。今回、その相手となる大島は子役時代から多くのドラマや映画に出演していたこともあり、安定感が抜群。特に『七人の秘書』(テレビ朝日系)、『ネメシス』(日本テレビ系)、『アンチヒーロー』(TBS系)など、複数人で構成されたチームの活躍を描くドラマには必ずと言っていいほど大島の姿があり、一歩引いたところから新人を見守る役どころを演じることが多い。その安心感といったら半端ではない。有能なサポーターとして、名バイプレイヤーとして、作品の地盤を固めてくれる頼もしい存在だ。 本作で演じる真も、桜とは同期入庁とはいえ、年齢は10歳年上。また天真爛漫で明るい桜に対して、真はクールで冷静沈着とキャラクターは相反する。ゆえに今回は小芝がバディとして振り回す側で、大島がそのストッパー的な役割を担うのではないだろうか。一方で、桜の熱く前のめりな姿勢が真に影響を与えるシーンもあるだろう。「1人でも多くの身元不明者を家族の元に帰したい」という思いだけは共通する2人が互いの足りない部分を補い合いながら、捜査官として成長していく姿を楽しく見守りたい。
苫とり子