スリーエフ、生き残る道は地域一番店 ローソンと足並み揃えデリバリー強化
スリーエフは今期(2月期)、ローソン・スリーエフとgooz(グーツ)の2業態で平均日販の上昇と出店エリアで最後に生き残る“総”最強店舗化を目指す。 4月11日の決算説明会で山口浩志社長は“総”最強店舗化について「近くの好適な立地に店舗を移動させてでも、地域の中で最後に生き残るためにベストな状況をつくる。競合よりも1万円でも2万円でも平均日販を上回ることの積み重ねが、チェーンの平均日販の向上に結びつく。個店ごとの競争力を地道に向上し積み上げることで、売上を伸ばしていく」と述べる。
今後、人口減少が予想される商圏では小規模スーパーも徐々に撤退していくとの見立てのもと、その見立てに商機を見出す。 「競合のコンビニチェーンや同業他社よりも平均日販が高い店舗こそが、最後にそのエリアの小売業として生き残る。その地域の中で1番利用される店舗を目指す」と力を込める。 こうした考えのもと、ハードとソフトの両面で生き残るための布石を打っていく。 「私たち、チェーンというのは結局、個店がその地域でどれだけお客様の支持を集められるかにかかっている。個店の集合体がリアルに経営に反映されることから、1店舗1店舗が各商圏の中で生き残れるだけの競争力を持たせることに非常に注力している。 平均日販はまだまだ伸ばせる余地がある」との考えを明らかにする。 ハード面は、駐車場などを整備していく。 店舗数については「増やしていくタイミングに入った」としている。 具体的には、現在東京と神奈川で約40店舗展開する青果強化店を、徐々に拡大する方針。 「埼玉・千葉からも要望の声があがっている。ローソンのオペレーションに慣れて余裕が出てきた店舗は青果強化店としてさらなる日販向上を目指したい」としている。 神奈川と埼玉に3店舗展開する 「gooz(グーツ)」は前期、行楽需要の高まりなどを背景に客数が伸長し、前年を大幅に上回る日販実績となった。 今期はグーツのフランチャイズ化を検討。店内調理とコンビニエンスストアの品揃えがさらに融合したような店舗を構想しているという。 デリバリーはUber Eats(ウーバーイーツ)を活用する。 「飲食店業界に代わって小売業がUber Eatsの中でもっと存在感を出せるようになれば、新たなお客様を取り込むことができる」と期待を寄せる。 ソフト面では品揃えを拡充する。 ロングセラー商品「もちぽにょ」やスリーエフ時代から注力してきたドライ商品など、独自の差別化商品を強化。そこにローソンの強みでもあるマーチャンダイジングを掛け合わせることで、ローソン・スリーエフとしての勢いを加速させる。 山口社長は「オリジナル商品については、ローソン・スリーエフへの転換でそれまで扱っていなかった惣菜カテゴリーが加わったことで伸ばすことができた」とローソン・スリーエフ転換後の手応えを語る。 販促やオペレーションにも磨きをかける。 このほどローソンが導入した新たなAI発注の仕組みをスリーエフでも取り入れ、値引き提案機能の追加や、店舗在庫管理システム導入による取り扱い商品の拡大、各種キャンペーンによる販売促進などに取り組む。 「競合店よりもこの店に行けば、好きな商品が買えるということを実現していく。(品揃えの強化は)ローソンと足並みを揃えて協力的に行っていく」。 スリーエフの前期業績は、営業総収入4・9%増の138億5700万円、営業利益495・4%増の9億900万円、経常利益480%増の9億1400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1700万円。 このうち連結子会社のエル・ティーエフ(L・TF)が運営するローソン・スリーエフの既存店売上伸長率は3・5%増。 平均日販は58万1000円で前年から2万円上昇した。1店舗当たりの日販・荒利の改善や政府の電気代支援が後押した結果、加盟店利益は15%増と大きく伸ばした。 ローソン・スリーエフの状況について山口社長は「L・TFに転換した際は、店舗数や全体の売上高よりも1店舗の平均日販が他チェーンに対して競争力を失ったことが事業不調の要因と捉えていた。その後はコロナ禍でやや減少したものの、足元では順調に売上を増やしている」と説明する。 カテゴリーでは、おにぎりやカウンターフーズ、サラダ等の中食の売上が伸長したほか、独自商品の店内訴求が奏功しチルド弁当・やきとり・惣菜が引き続き好調に推移した。 「L・TF転換から7年目を迎えて、ようやくローソン並みの荒利益率、いわばタバコに頼らない集客サービスというところが実現してきたと感じている」との手応えを得る。 平均日販の好調要因については「商品はスリーエフ時代からのドライ商品をぶれずに展開し、そのベースの上にローソン独自のマーチャンダイジングや、新たに惣菜カテゴリーが加わったことで、売上が拡大した」と振り返る。