自転車で走行中、信号は歩行者用と車両用どちらに従う? ~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.11】
自転車横断帯は見かけなくなった?
相談者:そういえば、自転車横断帯って見かけなくなったような気がします。最近は、車道路面上に青い帯状の自転車専用通行帯(自転車専用レーン)や、青色矢羽根型路面標示(青色矢羽根)、自転車のピクトグラムが描かれているのをよく見かけます。 芳仲弁護士:そうですね。実は、自転車横断帯は横断歩道に接して設けられる例がほとんどだったのですが、自転車横断帯があると、かえって危険であるという指摘がされていました。例えば、「車道」を走行してきて交差点を直進進行しようとする自転車は、「自転車横断帯」を通行するために、いったん左折するかのような挙動を取り、その直後、直進方向へと再度方向転換をする挙動を強いられます。短時間内に2度にわたり方向転換をする、この自転車の挙動が危険を招くという指摘です。 他方、レジャーや健康指向を踏まえて自転車の効用が見直されたり、配達用の自転車が増加したりして、自転車利用者が増加。それに比例して、歩道上を走行する自転車による悲惨な事故も社会問題化しました。 相談者:確かに、ニュースなどでもそういった報道を見ましたね。 芳仲弁護士:そのような危険があるとはいえ、 特に都市部では自転車専用道路(道路法48条の13)を広く設置することも困難です。そこで、「自転車は車道通行が大原則」という考えのもと、道路や交通状況に応じた自転車通行空間の整備を促進するための方策を検討。平成28年7月に国土交通省道路局と警察庁交通局が「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を策定しました。 その中で限られた道路空間をどのように安全に利用するかが広く検討された結果、道交法で車道通行する自転車の例外として定められている「自転車横断帯」は、実際上ほぼ消え失せてしまったのです。 相談者:そんな事情があったのですね。 芳仲弁護士:現在、「自転車横断帯」は、交差点の直前まで歩道と隣接して「自転車専用通行帯」が設けられているような場所や横断歩道橋の下といった場所に限定されてきています。 相談者:まだ残っている場所もあるのですね。