金のためなら老婆を殺す「ルフィ強盗団」から家族をどう守るか…伝説の元“泥棒刑事”が明かす「闇バイト凶悪集団」が“最も恐れるもの”とは
防犯フィルムの効果
「次に『音』ですが、先日発生した船橋や横浜の強盗は、被害宅周辺に家がありません。隣が駐車場だったりしますし、船橋の場合は四方に家がありませんでした。強盗は音が漏れ聞こえることを嫌がります。泥棒よけには効果を発揮する『防犯砂利』というものがあります。歩くだけでも音がする砂利ですが、これは強盗に対してはさほど効果はありません。強盗に対して効果が見込めるものとしては『緊急非常警報装置』です。非常ボタンを押すと外に向けてスピーカーでサイレンのように大きな音が鳴るのです。強盗に備え、そうした設備を設けておくのも1つの手ではあります」 広域強盗の実行役は侵入時に宅配便を装い、玄関から入る場合もあれば、窓ガラスを割って侵入する場合もある。ターゲットの周辺に家屋や人の目がなければ「音」も「目」も気にせず、こうした方法が採られることも考えられる。しかし、防犯フィルムは貼っておいて損はない。 「侵入口となる窓の鍵のところに防犯フィルムを貼っておけばすぐには割れません。最終的には割れるんですが、一撃では割れずヒビが入る程度です。何回も叩かないと割れないわけです。その間に逃げたり、110番通報したり、緊急非常警報装置を鳴らしたりすることができて時間稼ぎになります」
金のありかを聞かれたら
こうした対策を取っていても強盗と鉢合わせした場合は、必ず金のありかを聞かれることになる。その場合に備え、家に置いておく現金はなるべく少なく、また分散させておきたい。例えば家に50万円があるとするならば、20万、20万、10万円など、複数に分けておく。「強盗に入られた時、そのうちのひとつを出して『これしかない』と20万円の場所を教え財布を渡す。身の危険が迫っていますから、自らお金を渡すくらいでなければなりません」という。 そして広域強盗らは家人に金のありかを聞くだけでなく、家人に金庫を開けさせようともする。事前に指示役から与えられた情報の中に、金庫の場所も含まれていることがあるのだ。「一般の家にはほとんど置いていない」という金庫の情報まで指示役が入手している背景には“闇名簿”の存在があると小川氏は指摘する。「高齢者の名簿を元に、闇バイトを使ってリフォームやリサイクルなどの名目で訪問させ、状況を調べさせた上でアップグレードした特殊な名簿」だという闇名簿を元に、指示役がターゲットを決めることがあるという。 「開かない金庫といえば『クマヒラ金庫』(金庫メーカー国内最大手・クマヒラ社制作の金庫)です。金庫破りのプロが侵入した家でクマヒラ金庫に出会った時、最敬礼してそのまま触らずに出て行ったという話もあります。しかし強盗の場合はそもそも金庫が家にあることで『お前が開けろ』と言われますよね。手が震えて開けられないと、犯人から『殺すぞ!』などと言われ余計パニックになってしまうということもあります。 一般の家に金庫は必要ないんです。銀行の貸金庫や口座に入れておくなど、家になるべく現金を置かないことがよいでしょう。どうしても明日の朝まで家に現金を置いておかなければならないといったようなときは、台所などにある床下収納に一時的に保管してカーペットを敷いて物を置いておくとよいでしょう。面倒なところに隠しておかなければ、見つかってしまいます」