＜掛布雅之が語る＞下馬評の低い阪神 どうすれば広島に勝てるか
阪神の長所はディフェンス力
対広島への戦略を考えるとき、先発の配置以上に重要なことがある。それは“負けない野球”に徹することである。どうも阪神の終盤の戦いぶりを見ていると“負けない野球”というよりも“打ち勝つ野球”を模索しているように見える。阪神と広島、阪神と巨人の戦力を比較した際、阪神の長所は何なのか。間違いなく投手力を中心としたディフェンスだろう。 ならば、スタメンを考えるとき、まず守備力を最優先にメンバーを決めるべきだ。そうなると、サードベースは坂だろう。一塁も新井兄。センターには大和、ライトには福留という布陣が望ましい。マートンについては、守備に目をつぶらねば、しょうがないだろうが、守備に不安がある今成の先発などは考えないほうがいい。点を取らねば勝てないのが野球だが、点を取られなければ負けないのも野球である。 守りでゲームの中でリズムを作り、チャンスを待つ、相手のミスを待つという短期決戦における勝率の高い野球を目指すべきである。
阪神には下馬評を覆す力がある
短期決戦には必ず想定外のラッキーボーイが出現する。幸いにして、阪神には新井兄弟や福留、西岡など、何かをきっかけに打ち出すと止まらなくなるようなラッキーボーイ的要素を持っている選手が多い。これは、前回のコラムにも書いたが、攻撃面では、我慢強く一死二塁、一死三塁という形を作っていく野球を徹底。そして、守備を固めて守りからリズムを作っていけば、タイムリーだけでなくラッキーボーイの出現もあるのかもしれない。 阪神か広島か。評論家として勝敗予想を聞かれれば、広島と言わざるを得ないが、やり方次第では、阪神にも下馬評を覆す可能性はある。 （文責・掛布雅之／構成・本郷陽一）
