全国で相次ぐ「闇バイト」県内でも… 県警の対応は
富山テレビ放送
全国で相次ぐ「闇バイト」による犯罪。 県内でも今月、闇バイトに応募して窃盗などを行ったとされる容疑者が逮捕されました。 犯罪グループの勧誘から若者をどう守るか… 県内の警察が対策を強化しています。 「闇バイト、しないでください。お願いします」 射水市の富山県立大学。 昼時、学生が多く集まる食堂の前で警察官が呼びかけたのは「闇バイト」への注意です。 全国で相次ぐ「闇バイト」による事件を受け、射水警察署が、大学と協力して行いました。 「簡単な仕事」で「高収入」を謳い文句にSNSなどで勧誘する「闇バイト」。 手軽に応募できる巧妙な手口に注意を呼びかけています。 *学生は 「周りの友人などが闇バイトをやらないように注意喚起して気を付けたい」 「働く場所の情報収集は大事。まわりの意見やコメントを見て、本当に正しいところなのかと(情報を)探すのが大事では」 首都圏を中心に、全国で相次ぐ強盗や特殊詐欺事件。 首謀者は実行役を「闇バイト」で集め、さまざまな犯罪を繰り返す匿名・流動型犯罪グループ、通称「トクリュウ」です。 その被害はすでに県内でも起きています。 今月11日、富山市の80代の女性からキャッシュカード2枚を盗んだ疑いで逮捕された、東京都江戸川区の18歳の男。 「SNSを通じて闇バイトに応募した」 男は「トクリュウ」の一員として集められ、女性からカードを受け取る特殊詐欺の「受け子役」を務めていたとみられています。 さらに… 「キャッシュカードが不正利用されている。今から代理の者がカードを取りに行く」 警察官になりすまして黒部市の女性からキャッシュカード5枚をだまし取り、ATMなどで引き出したとして逮捕された、富山市西長江の36歳の女。 警察の調べに対し「闇バイトの募集を見て応募した」と話していて、先月、小矢部市の高齢女性から盗んだ通帳で現金を引き出した罪でも起訴されています。 被害防止対策にあたる県警の担当者は、「若い世代を中心に、闇バイトの勧誘に狙われやすい環境が広がっている」と注意を呼びかけます。 *県警 生活安全企画課 新村健二次席 「シグナルやテレグラムなど、匿名性の高いアプリが犯罪に使われやすい。デジタル世代の若者に相性がいい。犯罪グループとして使いやすいツールになっている」 こうした状況を受けて、警察は、闇バイトの加担防止へ県内での若者への取り組みを強化。 先週、富山国際大学で開かれた特別講座では、闇バイト募集の実際の音声を使った手口が紹介されました。 「グレーバイト。闇バイトというよりも、どちらかというとグレー。ホワイトグレーな案件。書類を回収する仕事なんですけど。1件につき2万5000円。それ以外でも構わない。信用ができれば。他の仕事で言えば受け子出し子とか」 講習は、管内に大学がある富山南警察署の署員が行い、1年生50人が参加。 「単発」「簡単なお仕事」などといった甘い言葉と高収入の条件で誘う手段が紹介され、本人証明書の画像を要求するなどして、犯罪グループから逃れられないよう脅される環境が広がっていると注意を呼びかけました。 「匿名性の高いアプリを利用するよう指示が来る。闇バイトに応募した実行犯が捕まっても、犯罪グループに捜査が及ばないようにするため」 *参加した学生 「闇バイトが身近にある犯罪だと分かった」 「仕送りだけでは足りないこともある。興味本位で連絡しないように、心をコントロールしたい」 首都圏では、闇バイトで集まった実行犯による広域強盗事件が繰り返され、複数の死者やけが人が出ています。 専門家は、こうした凶悪事件が今後地方でも起きうると警鐘を鳴らします。 *筑波大学 人文社会系 土井隆義教授 「標的になりやすいのは1人暮らしの住宅。地方のほうが人の目に届かず狙われやすい可能性。実際に山口県でも(強盗予備事件が)起きている。(今後)被害が地方に及ぶことはある」 犯罪社会学を専門とする筑波大学の土井隆義教授は、闇バイトに加担する若者について、経済的不安を感じながらも社会や人間関係で孤立し、判断を誤るケースが多いと分析します。 *筑波大学 人文社会系 土井隆義教授 「闇バイトに関わっている人の多くは、いわゆる『ワル』ではない。おとなしくて無口で閉じこもりがちな人の方が取り込まれやすい。人間関係が孤立しているからだと知ってほしい。声掛けが大切。孤立しがちな人を放置せず、関わっていく姿勢が必要」 県内でも「闇バイト」による犯罪が実際に起き、それに加担した若者が逮捕されています。 県警は、闇バイトが疑われる求人に応募しないこと、応募してしまった場合でも個人情報を教えたり犯罪には加担せず、すぐに警察へ相談してほしいと呼びかけています。
富山テレビ放送