【虎になれ】新井サンにやられた!それでもカード勝ち越し阪神は踏み止まった
<広島7-5阪神>◇4日◇マツダスタジアム 衝撃的な敗戦だ。今季、貧打に悩む阪神、広島がそれぞれ9安打、10安打と打ち合った試合は阪神の敗戦に終わった。序盤、優勢に試合を進めていた阪神が敗れたのは広島の機動力だったかもしれない。 この日、緒方孝市(日刊スポーツ評論家)が広島ローカルで中継されるラジオの解説でマツダスタジアムを訪れていた。試合終了後に顔を合わせた緒方がうなるような表情で言ったことが印象的だ。 「岡田監督が絶対にやらない、あるいはできないことを新井監督がやったということ。それに尽きるんじゃないですか」。ぼんやり考えていたことが、その言葉で焦点があった。いろいろな面でタイプの違う両指揮官。それぞれの作戦がこの日は敵将・新井貴浩に上がったということだろう。 虎番記者、あるいはカープ担当記者の記事でも読んでほしいが試合が大きく動いたのは同点の8回だ。阪神2番手・島本浩也からこの回先頭の小園海斗が右前打で出塁。すると新井は代走・羽月隆太郎を送った。 1死になって打者・野間峻祥の初球に羽月は二盗を敢行。指揮官・岡田彰布がリプレー検証を要求するきわどいものだったが結果はセーフだ。1死二塁と場面が変わり、野間は四球。ここで阪神ベンチは島本をあきらめ、石井大智にスイッチした。 その最初の打者・石原貴規のとき、羽月はいきなり三盗を成功させるのだ。梅野隆太郎が懸命にサード佐藤輝明に送球したがタッチもできず、完全なセーフ。その後、2死満塁になってから石井が暴投で決勝点を献上してしまった。 終盤のこの形での失点は我慢できない。ここで阪神は一気に4点を失う。緒方が言うように、堅い作戦が持ち味の岡田に対し、超積極的な采配を奮った新井に、この日は軍配が上がったということだろう。 阪神はワンバウンドを止めることでは定評のある梅野が4回にも村上の暴投を止められず、失点。捕手・梅野でのバッテリーミスが1試合に2度というのはめずらしいことだ。それだけ緊張感のある試合だったということかもしれない。 これで2勝1敗。阪神は首位・広島を相手に敵地で3連勝こそならなかったが、それでも最低ラインであるカード勝ち越しには成功。順位はともかく、ギリギリで止まった気はする。いずれにせよ今後も新井カープとの激闘は続く。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)