【お手本は上皇后美智子さま】斎藤薫さんに聞く「年齢を重ねるにつれて美しくなる人」の共通点|美ST
華やかなハリウッドを去り、残りの人生を慈善活動に捧げたシワすら美しい笑顔
そういう意味でもう一人、「女性は歳を重ねるごとに美しさを増す生き物(The beauty of a woman only grows with passing years)」と主張し続け、内面が顔に出る事実を身をもって伝えた人がいる。実はそれがオードリー・ヘプバーン。20代の頃の妖精のような美しさは未だ憧れの的だが、晩年のこの人は年齢なりの多くのシワが刻まれるも、ハッとするほど美しい笑みをたたえていた。逆に30代40代よりむしろ輝いて見えたほど。彼女はパートナーの裏切りに2度の離婚、また4度の流産で心身ともに疲弊していた時期があった。30代半ばで華やかなハリウッドを去り、子供たちと暮らすためスイスの郊外に移り住んでいるのも、女優として喝采を浴びるより、真の家族愛を求めていた証しだ。でも最後の10年は新しいパートナーも共に暮らし、今が人生で最高に幸せと語っている。そして同時代の女優が美貌にしがみつき整形を繰り返している時に、難民キャンプを巡り献身的な慈善活動を行っている。だから難民の子供を抱く素顔のこの人は聖母マリアの顔になったのだ。もちろん人生において何が正解とは言えない。でも善い顔になる人の人生には絶対の共通点がある。常に他者のためを考えるスタンスだ。 かくして自分より相手を優先するメンタリティーを持ってさえいれば、人は必ず内側から美しくなる。競わずに無欲なら、美しさは勝手に後からついてくる。だからもう、誰よりキレイでなければと、がむしゃらにならなくていい。そうやって勝ち取った美は結構脆い。美しい人を美しいと心から褒めることができる人が美しいのだから。本質の正しさに人々が気づく時代、美の基準はどんどんそちらに向かっている。内面が美しさを育てる時代へと。
瀬戸内寂聴さん。井上との関係清算のため1973年(51歳)に出家し、1974年に京都・嵯峨野に「曼陀羅山 寂庵」を開く。その後、1992年『花に問え』で谷崎潤一郎賞を受賞し、『源氏物語』の現代日本語訳など精力的に執筆。この写真は、2017年12月12日号、女性自身「寂聴『青空説法』2800号記念インタビュー」の時。95歳。