海面上昇で集団移転、パナマで今後数十年間で集落60超が水没の可能性…島民「私たちが先進国の代償払っている」
パナマ環境省は昨年、海面上昇で2050年までに島や沿岸部など総面積の2%ほどが浸水被害を受けるとの調査結果を発表した。影響を受ける3万人以上の移転などで必要な気候変動対策費は119億ドル(約1兆8000億円)に上ると見積もっている。
同省のルス・メディナ気候変動分析官は「パナマの56%は森で覆われ、二酸化炭素排出量は吸収量を下回っている。気候変動で移転する住民の住居建設費などは本来、世界全体が負担すべきものだ」と訴える。
世界気象機関(WMO)によると、世界の平均海面水位は昨年、過去最高を記録した。世界銀行は、50年までに2億1600万人が移住を迫られると推計している。国連のアントニオ・グテレス事務総長は「海面上昇は世界中の沿岸都市に大惨事を引き起こし、経済を荒廃させる。世界は脆弱(ぜいじゃく)な国々に対する資金と支援を大幅に拡大しなければならない」と訴えている。