<傷物語>映像表現に秘められた思い 美意識の源泉 尾石達也監督に聞く
西尾維新さんの人気小説が原作のアニメ「<物語>シリーズ」の劇場版アニメ3部作「傷物語」の総集編「傷物語-こよみヴァンプ-」が1月12日に公開された。「傷物語」は、シリーズ第1作「化物語」の前日譚(たん)に当たり、「<物語>シリーズ」の原点でもあり、シャフトによるテレビアニメ「化物語」でシリーズディレクターを務めた尾石達也さんの初監督作品でもある。「傷物語」は、「化物語」で多くのアニメファンを驚かせた実写、CG、文字などを使った独特の演出がさらに色濃くなり、尾石監督の世界観が凝縮されている。どのようにして「傷物語」は生み出されたのか、尾石監督、アニプレックスの石川達也プロデューサーに聞いた。 【写真特集】伝説の“原点”「傷物語」がよみがえる! 驚きの演出 唯一無二の世界観 名場面を一挙に
◇「傷物語」の決定版 完全にシリアスなバンパイアストーリーに
「傷物語」は、「I 鉄血篇」「II 熱血篇」「III 冷血篇」の劇場版3部作が2016年1、8月、2017年1月に公開された。阿良々木暦と伝説の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの出会いが描かれる。「傷物語-こよみヴァンプ-」は、劇場版3部作を総集編として再構成する。
なぜ「傷物語」を1本の劇場版として公開することになったのだろうか。尾石監督は、劇場版3部作を制作した際も、そもそも一つの作品として「傷物語」を制作しようとしていたという。
「当時、絵コンテを描いている時は1本で作りたいと思っていたのですが、それが3部作になった。ただ、作りきれたことで満足はしていたのですが、3本目が終わった直後に、アニプレックスの岩上(敦宏)さんから『テイストを変えて一本にまとめてみないか?』というお話をいただいたんです。それは、完全にシリアスなバンパイアストーリーとして一本にまとめるという提案でした。自分も全く新しいものとして、もう一度組み直すのであれば、それは面白いなと思いました。だから、3本目が終わってすぐにまとめる作業に入りました」