最終18番で12mをねじ込んでプレーオフへ 山下美夢有は「やっぱり優勝って最高です」
◇国内女子◇富士通レディース 最終日(13日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉)◇6697yd(パー72) 【画像】パリ五輪ではメダルを逃がし悔し涙 50cmもないウィニングパットがカップでコンと音を立てた。グリーン回りから湧き上がる拍手と歓声。優勝スピーチでは思わず声を詰まらせた。 今季初の優勝会見に臨んだ山下美夢有の第一声は半笑いで「みなさん、お待たせしました」。そして締めの言葉は「最高でした。“あ、やっぱり優勝って違うな”と思いました」。ツアー史上初の「未勝利での年間2位7回」を経た今季初優勝は、過去の11勝と確かに違う重みがあった。
ジェットコースターのような最終日だ。首位3人の2打差を追いかけ、怒とうのチャージを見せた。1(パー5)、3番でピン1mにつけるバーディを奪い、5番でカラーから6mをねじ込むとガッツポーズをして7番(パー5)まで3連続。11番までに7バーディを重ね、後続を3打リードする首位に立った。 ところが、13(パー3)、14番で実質連続3パットのボギー。「今年を象徴するようなプレー」での急失速だ。最終18番グリーンに上がった時は、2組後ろの最終組を回る古江彩佳に逆転を許し、1打リードされていた。そして残ったパーパットは12m…。もう絶体絶命だった。
「入れるしかなかったです。でも、入れようと思っても入らないパット。そんなに切れないラインで、少しフックだけど保険をかけてとか、思いませんでした」。明らかに強めのタッチ。外れたら2mはオーバーしそうなボールはピンにガツンと当たり、カップに消えた。「ラッキーでした」というミラクルパットが、その後、古江の18番ボギーでプレーオフにつながった。 プレーオフもドキドキだった。今大会過去出場5回で3勝と絶対的な強さを誇る古江相手に1ホール目、入れたら勝てた2mのパーパットを外した。2ホール目はピン前5mのチャンスにつけた。古江が約20mのパーパットを残して“2パットでもOK”と思えた場面で、古江のパットがガツンとピンに当たって、外れた。「“入ったのかな”と思って、さすがにドキッとしました」と肝を冷やした後に、待望の瞬間を確信した。