中国で「エネ法」成立、エネルギー安保強化へ 温暖化対策アピール 幼稚園の安全対策も
【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は8日、北京で開いた会議で、エネルギー安全保障の強化に向けた態勢を整えることを柱とした「エネルギー法」案を可決、成立させた。来年1月1日に施行する。エネルギーの開発や利用、備蓄、イノベーション(技術革新)、監督管理などについて定めた。 同法は「エネルギーの質の高い発展」の推進に加え、「国家のエネルギー安全保障」を守ることを制定目的に掲げた。エネルギーに関して、「中国共産党の指導」を堅持することや、「発展と安全」を両立することを求めている。 再生可能エネルギーについては「国は優先的な開発と利用を支持」するとし、エネルギー消費に占める化石燃料以外の比重を高めると定めている。今月11日からアゼルバイジャンで開かれる国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)を前に同法を成立させ、地球温暖化対策に積極的な姿勢を示す狙いもうかがわれる。 一方で、石油や天然ガスについても、「資源探索や開発に力を入れ、国内供給能力を保障する」と掲げた。原子力発電については「安全で秩序ある発展」を進める方針を示している。水素エネルギーの開発、利用を進めることも盛り込んでいる。 常務委の会議では同日、3歳から小学校入学前の教育について定めた「学前教育法」案を可決、成立させた。来年6月1日に施行する。公表された条文によると「子供と幼稚園の安全を法に照らして保障する」と定め、地元政府などに幼稚園周辺の治安管理やパトロールを強化するよう求めた。中国では、公共の場で子供らが襲われる事件が各地で頻発しており、そうした状況に対応する狙いがあるとみられる。 同法は、地方政府に対し「学前教育の財政投入を拡大」するよう求めた。条件が整った地方政府には学前教育の無料化を段階的に進め、「家庭の保育、教育コストを下げる」ことを定めている。 企業の資産として幼稚園の株式を国内外で上場することを禁じた。教育関連企業による利益追求を抑制することを狙っているとみられ、入園時の偏った選別につながる試験を行うことも禁止した。