オーストラリア戦に向けて調整する久保（右から３人目）ら

◇コラム「目撃者」 　サッカー日本代表は15日、2026年W杯北中米大会アジア最終予選C組第4戦でオーストラリア代表と対戦する。14日は試合会場の埼玉スタジアムで最終調整した。世界ランキングは日本16位、豪州25位。過去の対戦成績は日本の11勝9分7敗。 　いまの日本代表は「歴代最強」の呼び声が高い。最終予選初の開幕3連勝を飾り、14得点0失点。広島で87試合に出場した豪州代表のポポビッチ監督が「1つステージが上がって強くなったと思ったら、また次のステージに段階を上げて強くなっている」と率直な感想を漏らすほどだ。 　国際Aマッチ出場ゼロの望月は「（練習で）明らかに僕のミスだけが目立ったりする」とチームメートの技術水準の高さや選手層の分厚さに驚き、初招集の関根は「試合よりもチームの紅白戦の方がレベルが正直、高い」とハイレベルな生存競争の”内情”を明かす。 　前回大会予選はオマーンとサウジに敗れ、危機的な状況に陥ったチームは一転、別次元で最難関だったはずの最終予選で2位に勝ち点5差の一人旅。ただ、チームに強者の自信は漂っても、勝者の過信は感じられない。いい気になったり、慢心したりする選手も見当たらない。なぜなのか？ 　久保は「勝って当たり前だとは思ってないけど、みんな、口々に『目指しているところはもっと上』と言っている」と説明する。 　練習前には名波浩コーチと堂安が真剣な表情で話し込み、練習後には議論の輪がいくつもある。いまや最終予選であっても、「勝てばいい」などと選手たちの志は低くない。足元を見詰めながらも、視線ははるか先。上田は「リーグ戦（最終予選）を突破するという考え方よりも、1試合1試合、自分たちのやり方にトライする。自分たちの形をより確実にしていく作業の連続」と当然のように言う。 　ベンチも含めた向上心の先に、全員が本気で「W杯優勝」を見据えている。そこから生まれる試行錯誤の循環こそが、強さの源流だろう。今予選最大のライバル決戦もおごりなく勝ち、W杯への通過点とする。（松岡祐司）